内容説明
文明開化とともに訪れた日本の近代化。そこには、劇的な社会変化に戸惑いつつも、たくましく生きる人々がいた。そんな彼らの姿と変貌する日本を描きつづけた在留フランス人画家ジョルジュ・ビゴー。日本で過ごした17年間に彼が残した多くの作品から漫画・挿画・銅版画など、百点を厳選。愛着とアイロニーに満ちた諷刺画を通して見る日本人論。(講談社学術文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
21
当時の日本の風習と外国人からみた日本がどのような印象を与えたのかがわかる興味深い一冊です2024/05/11
金吾
18
描画を楽しめる一冊です。西洋化していく日本を日本文化に興味を持っている西洋人から見た絵であり、文化をよく伝えている部分があるとともに諷刺がよく聞いていると思いました。2020/07/16
つちっち
14
歴史の教科書のイメージから風刺画の印象がつよかったけど、ここで紹介されている作品の大半は多少カリカチュアライズされているとはいえリアルな庶民の風俗を写実的に描いたもので興味深かかった。ただ風刺画家としての側面が強く現れる5と6章に関しては、極東に対する西欧人の傲慢さと、当時イギリス寄りだった日本に対するフランス人の苛立ちが風刺画の根底に垣間見えて苦々しい気分にさせられた。不平等条約の改正で優位性が失われたと同時に母国へ逃げ帰ってるし、ちょっと嫌いかな、ジョルジュ・ビゴー。2020/08/10
そうたそ
12
★★★★☆ ビゴーの絵といえば、中高生は勿論、さもすれば小学生まで知っているだろう。当たり前のように教科書に載っているからだ。しかし、ビゴーの人間像といえば実際のところ殆ど知られていない。それほど資料が残っていないからかもしれない。本書はビゴーの絵から当時の日本人を読み解くという一冊であるが、同時にビゴーの人間像にも触れられている一冊でもある。当然のように教科書に載っている当時の普通選挙実施時を描いたビゴーの絵も、資料がそれくらいしか残ってないから載っているとのこと。いかにビゴーの絵が貴重かがわかる。2013/08/14
猫丸
11
諷刺画が有名なビゴーであるが、彼の価値はむしろ風俗画にあるのだ、と主張する本。写真が普及していない頃の人々を描いた作品のうち、ちょうど100図を紹介する。絵の巧拙はわからないけれど、たぶんうまい絵なんじゃないか。戯画的な出っ歯メガネの次元を超えて、日本人の表情をしっかりとらえたと思えるものが多い。戦後になってビゴーを広く紹介したのは服部之総であるという。あまり大判でなくてよいから、そろそろ「ビゴー全画集」を刊行してもよいのではないか。2022/10/02