内容説明
名もなき工人が作る民衆の日用品の美、「民藝」。大正時代半ばから二十年近い歳月をかけて日本各地で手仕事の「用の美」を調査・収集した柳宗悦は、自然と歴史、そして伝統によって生み出される美を探求し続けた。著者がみずからの目で見、選び取った正しい美しさとはなにか。日本文化が世界的に注目される現代、今なお多くの示唆に富む日本民藝案内。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
富士さん
4
論文で引けないかとパラパラ眺めただけ恐縮ですが、ひどく失望しました。今まで評価されなかったものを積極的に評価していこうという姿勢は素晴らしいと思いますが、その理由としてまるで新憲法におもねるように”健康”を挙げているのは最悪です。立派な仕事をする職人にも体の弱い人もいれば心の弱い人もいたはずですし、自分が健康側にいることをさも当然の前提としているのもとても冒涜的だと思います。個人的な好き嫌いは自由に語られるべきですが、それを絶対的な基準にしなければまとめられないところに美学の病的な感覚を感じました。2019/04/14
あるぱか
1
定期的に取り上げられる民藝についての本。内容のほとんどが全国にある品物の説明でした。色々あることは分かりましたが、文字だけだとイメージしづらかったです。ますます駒場の美術館に行きたくなりました。2023/03/06
takakomama
1
日本中を旅して、昭和15年頃の手仕事を、芹沢けい介さんの小間絵と共に、紹介しています。器、織物、和紙・・・ 生活様式の変化などで使われなくなった道具などもあり、今はどれだけ残っているのでしょうか。私は旅先で、何を食べようばっかりで、手仕事を気にとめなかったのは、もったいないことでした。2015/11/28
yuzyuz_k
1
昭和15年前後調査の手仕事を紹介してます。散歩、旅行、出張等に持って行きたい一冊です。行った先の魅力を知るヒントになると思います。2015/09/01
nitti
0
手仕事を、民芸を賛美した柳氏の本。工業化の波の中で急速に失われ行く手仕事に警鐘をならすという意味ではこのような文章になったのだと思う。現代の時代に見ると、伝統にこだわりすぎる嫌いがあるし、過剰な装飾をいやらしいと嫌うところも偏っていると感じる部分もある。後書きではフォローがあったが、伝統とは、守るだけでは腐ってしまう、変化を恐れては死んでしまう、のではないか。 あと、化学が嫌われすぎていて悲しかった。 全体を通じては読んで良かった本だけど、もやもやした部分があったから、ね。2017/03/30