内容説明
終戦直後、GHQにより廃止の瀬戸際に立たされた靖国神社は、皇族出身の筑波藤麿宮司の指導のもと、様々な改革を実施していった。筑波宮司は昭和天皇の意を汲み、A級戦犯の合祀を求める圧力に終始、消極的な姿勢を崩さなかった。
1978年に筑波宮司が亡くなると状況は一変する。筑波氏の後任と目されていた権宮司に、靖国神社の職員寮内のいさかいから反感をもった反権宮司派は、靖国神社以外から新宮司を招聘すべく画策する。そして新宮司に選出された松平永芳氏は、自らの特異な信念に基づき、就任したその年にA級戦犯の合祀を決行した。
記者が「まるでその場にいたかのようだ」と、靖国神社関係者を驚かせた徹底取材で、 昭和天皇の意すら介さぬ松平氏の独特な政治・思想はどのように育まれたのか、靖国神社の最高意志決定機関・崇敬者総代会の内情、そしてA級戦犯合祀の真相をえぐりだす「靖国問題」の決定版的一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
勝浩1958
7
靖国神社で会うことを誓って死んでいった天皇の赤子が祀られている靖国神社に、A級戦犯が合祀されてからは昭和天皇は一度も参拝されなかった。遺族の方々はさぞ悔しい想いをされたことでしょう。戦犯の分祀もできないとなれば、今後天皇の参拝もないことになるのでしょう。また、国家が靖国神社を管理することも、憲法に定める政教分離規定に抵触するため法案は廃案になっています。このような様々な問題を生むことになったA級戦犯の合祀を敢行したのが、松平春嶽の直系の孫である松平永芳であったのです。2015/09/19
ルアット
4
靖国神社にA級戦犯を合祀した靖国神社宮司の松平永芳。地元の福井にもゆかりのある人だったので、興味はあったが、彼に対してもA級戦犯と同様に考えていた。なぜそんなことをしたのか。理由を知るのにちょうどいい本を見つけたので読んでみた。政治と宗教の間であいまいなスタンスのまま今日まできてしまったために、いろいろな矛盾をかかえたままの靖国問題は、もう解決するときはないのだろうな。2016/06/28
樋口佳之
2
確信犯の松平宮司について知りたくて読みましたが、むしろ「白い共産主義者」を自称した筑波宮司の話に驚きました。合祀と言うデッドロック化した現状とは違う道も有り得たのだと思いました。2016/01/29
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