内容説明
3.11後の脱原発論議を経済学の視点から検証し、原子力発電なき経済再生の処方箋を示す。原発は、じつは効率面でも環境面でも優位性を持たない。それがなぜ推進されたのか、代替エネルギーをどこに求めるべきか、エネルギー大転換で迫られる経済の新しい成長モデルとは…気鋭の経済学者がその方程式を読みとく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mura_ユル活動
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2011年7月出版。経済学の視点で書かれている。その一つ、発電コストの実態の検証。発電コストは各電源(原子力、石油やLNGなど)別の稼働率が大きく関係する。さらに、原子力発電は補助金も発電コストとは別に税金として払っている。日本電源別シェア、石炭が意外に多いなあ。CO2についても言及。効率の良い国内よりも海外に日本の技術を輸出した方が、地球全体の環境には貢献度が高いと。原子力周辺の雇用や電力自由化、スマートグリッドも。このままビジョンもなく、未来の子供達に負の遺産を残すことは、是非、避けなくてはいけない。2013/03/20
lime@灯れ松明の火
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普段は安全性を論じた原発批判本を読むことが多いので、経済学、特にコストの面から原発の是非を問う本書は新鮮だった。データが豊富なのと、出典がはっきりしているのもポイントが高い。電力不足になるから再稼働だと?本書を読んだ方ならそんな詭弁にはすぐ気付けるだろう。重要なことはほとんど報道しないマスコミに代わって、なるべく多くの方が本書のような情報に触れられますように。2012/05/25
ゆうだい
1
原発は駄目だ!原発から次世代エネルギーに転換していこうぜというステレオタイプな主張を客観的データを元に、現実解として提示している。ロジック展開は「原発の経済性は優れていない」→「LNGを中心とした火力で電力をまかなって、次世代エネルギーに移行」→「原発がなくても雇用は創出でき、経済成長できる」というもの。ありきたりだけど、豊富なデータから展開しているので、わりと説得力がある。2012/02/04
HIRO
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詳細のデータを用いて、客観的な分析で粛々と論理が展開されています。火力発電よりも原発の方がコストが掛かる。今までの自分たちは原発の方が安いと思っていましたが、実はそうではなかったと・・・2015/04/08
asajee
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前回、原発推進の本を読んだので、バランスをとろうと思って。経済面を軸足に、豊富なデータを基に進められる論は説得力あり。原発の危険性を感情的に述べるのではなく、危険性以外の、原発のメリットのなさが分かりやすく述べられている。2012/02/03