内容説明
人間大砲の轟音とともに、舞台にバラバラ死体が降り注ぐ「サーカスの怪人」。被害者は必ず顔面の皮をはがされ、頭部を持ち去られる「喰顔鬼」。火の気のない密室で、人間が突如発火し、焼死する「火炎の魔」。複雑怪奇な6つの殺人事件を、名探偵・二階堂蘭子が鮮やかに解き明かす、趣向に満ちた本格推理傑作集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
68
二階堂蘭子シリーズ短編集第2弾。長編にしても良さそうな6作品。江戸川乱歩、横溝正史両先生の作品の様なタッチ、雰囲気の作品が私的には心地好い。「ある蒐集家の死」はダイイングメッセージ物で、解決場面だけを切り取った様な作品。犯人を追い詰める蘭子が、コロンボ警部に思えた(笑)。「薔薇の家の殺人」は過去に起こった事件を、当事者たちの証言のみから、真実を紐解いていく物語。「五匹の子豚」や「フォックス家の殺人 」を思い出すが、比べても短編としては遜色ないと思う。終わり方ももう一捻りあって、心温まる終わりで良かった。2018/02/27
ダイ@2019.11.2~一時休止
60
二階堂蘭子その7。短編集。サーカスの怪人・火炎の魔なんかがイイ。2014/03/30
yucchi
36
短編集第2弾。複雑怪奇な6つの殺人事件。読みながら所々でガリレオが頭をよぎる。殺人や犯罪がなくならないことに対し、「でも幸いにも、その救済のために、私のような真理を探求する探偵が存在するのでしょうね」と言ってのける蘭子ちゃん(笑) いけ好かないけどかっけーな(笑) 2017/04/10
勇波
32
小粒ながら二階堂作品らしい秀作揃いの探偵小説になってます。蘭子さまを6回一気に堪能できます。。いい意味で無理に作ったような時代錯誤的な雰囲気が個人的には好きです。もとはと言えば人狼城へ行きたくて読み始めた今シリーズ。つぎは「悪霊の館」へ。やっと『人狼城』の影が見えてきた★2015/08/25
LUNE MER
16
むむ?なんだか蘭子シリーズは短編集のほうが好みかも?古典的名作への憧憬が溢れるあまりにオマージュを散りばめる傾向にある二階堂作品の場合、電話帳でそれをされるとくどく感じてしまうところ、短編ならあっさり済むからかも。本短編集の中ではクイーンのライツヴィルものの中でも地味な、しかしジンワリくる「フォックス家の殺人」モチーフの話が特に好き。2022/04/27