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内容説明
元総理大臣の著者が、2004年から10年かけて歩いた四国八十八カ所のお遍路について記す。著者のお遍路は7回にわたる「つなぎ遍路」で行われた。スタートは2004年7月のこと。この時は、のちに誤解とわかる「年金未納問題」で民主党党首を辞したことでお遍路に向かう時間ができたものだった。著書のお遍路は激動の10年のなかで行われている。民主党が政権交代を実現し、著者自身が総理大臣となり、大震災と原発事故に直面し、そして総理を辞し、民主党が下野するという10年。振り返ると、東京から四国に向かうとき、著者は苦境の中にいるときが多かった。そうした旅立ちの前に永田町で起きていたことを踏まえながら、歩きとおした1100km以上の記憶をつれづれに記していく。総理となった者は、なにを思って八十八カ所を周ったのか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rigmarole
8
印象度B+。遍路関係の本は自分で歩いたか否かで理解度や印象が全く異なるでしょう。一度歩くと、地名については自分の見た光景が目に浮かびますし、行程については距離感や道の状況について、自分の経験と照らし合わせながら読みますから。そこで本書を読むと、遍路に対する意識や歩く準備・態勢づくりにおいて私と共通するところが多く、それらは抵抗感なく受け入れられたので、一気に読了しました。やや不満な点は、後半の行程が軽く扱われており、代わりに政治の話が増えていること。彼の心理状態の変化を表しているとも言えるでしょうが。2018/07/20
山茶
7
政治家管直人の足掛け10年お遍路記録です。最御崎寺の売店で見かけてお遍路終わったら読んでみようと思っていたので読みました。 ホントに一人で全部歩いたのがわかります。有名人の弊害や接待はあるが、基本は普通の歩きお遍路さんと同じスタイルで巡ったんですね。くるぶしより下が熱を帯びて夜寝られないとか、せっかく登ったのに一旦下ってまた登らないといけない道が気分的にキツイとか、接待文化が素晴らしいとか自分と同じ事を考えていて共感もてます。宿も金子や、つよし、小松、ながお路などいくつか同じ所に泊まってるのも嬉しい。とい2016/11/04
みじんこ
2
菅直人によるお遍路体験記。文章が軽い語り口で書かれているため読みやすい。「政治に関する話はできるだけ不悪口に努めたつもり」と書いているように、お遍路を始めてから起きた政治的出来事や小沢一郎への人物評を記してはいるが、徹底批判するというようなものは見られない。私自身お遍路に関する知識があまりなかったので、道具の名称や参拝方法など初めて知ることが多かった。次の札所までの距離を考えて泊まる宿を決めるなど、そういった面も考慮しつつ連日長距離を歩くのは大変だと思ったが、出会った人との関わりなど楽しそうでもあった。2016/10/07
kamayan1192
0
菅直人の「お遍路」体験。お遍路を始めたのは年金問題で叩かれた頃がきっかけ、お遍路を四分の三ほど終えたところで311と福島原発事故が起きた。小沢一郎への評価が抑えきれずに滲み出るところが面白い。2015/10/18