内容説明
戦後最後の「無頼派」色川武大の傑作短篇集。
元海軍司令官の父の末弟で、受験に何度も失敗し自らの人生を決めあぐねた若き叔父・御年。悲しい結末を迎えた彼の書き残した父宛の手紙で構成した「遠景」をはじめ、夢の手法をまじえて綴った「復活」ほか、生家をめぐる人々をモチーフとした作品を中心に、ギャンブル仲間であった一人の男の意外な出世と悲惨な転落を追った「虫喰仙次」など、短編7篇を収録。戦後最後の無頼派作家の描く、はぐれ者たちの生と死。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
もだんたいむす
7
親の影は払えないのか。★★★☆☆2016/02/16
ライム
6
暗黒街をくぐり抜けてきた人間観察眼を感じる表題作。虫喰氏はギャンブル好きなだけの堅気人に見えたが、副社長からの転落ぶりが残酷で、金の無心に現れ断られている場面が怖い。その他短編での著者の一族の話、とりわけ12人兄弟の長男で苦労したとの親父の話が面白い。死んで葬式済んだ後に、復活して現れた幻影の親父の姿が凄い…ワニのような恰好で縁の下に潜ったり、庭の花壇で泥を食べてるなど不気味だが絵が浮かぶ。役に立つ方角に関心が向かず、頭に石ころみたいなのが詰まっている…とのイメージも著者らしくて可笑しい。2026/01/24
ゆかっぴ
4
いろんな作品のあちこちに色濃く影をおとす父親の存在が印象的でした。2016/02/04
みや
2
親族・友人・知人のことや自身の少年時代のことなどを題材とした短編7本。エッセイの括りになろうが、明晰な言語感覚で独特な思考や人間関係の機微が記されるので、私小説のようでもある。しかし夢の話の冗長さには閉口した。僅かな失敗を重ねることで転落の人生を歩んだ叔父の話「遠景」、ギャンブラーの嗅覚により会社で出世したものの、やがて没落してしまった友人を描いた「虫喰仙次」、著者の少年時代の恐るべき習慣を顕にした「走る少年」がよかった。2019/01/26
kj.star
2
7編からなる短編集。一人の人生の生きようを、競輪の勝ち負けの出色に捉えた表題作は、ギャンブルの神様ならではの視点で、経験に基づく深い考えおよび哲学が堪能できて面白かった。2015/11/03




