新潮選書<br> 豊臣大坂城―秀吉の築城・秀頼の平和・家康の攻略―

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新潮選書
豊臣大坂城―秀吉の築城・秀頼の平和・家康の攻略―

  • ISBN:9784106037665

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内容説明

豊臣秀吉は四度の工事を経て、自らの根城(ねじろ)を惣構えで固めた難攻不落の巨城へと変貌させた。秀頼統治下の大坂は「パクス・オーザカーナ」ともいうべき繁栄を謳歌するが、徳川豊臣二重公儀体制のバランスが崩れた時、両軍は激突、城は灰燼に帰した。その城内の様子や真田丸などの堅固な防御を、考古学的発見と歴史的文献を駆使して再現する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おぎわら

17
先日、出張時に大阪城を歩いてきて興味を持った。現在の大阪城は江戸時代になってから徳川幕府が築城したもので豊臣時代の遺構はすべて地中深くに埋まっている。近年の発掘作業の成果も交えて初期大阪城の成立から夏の陣の落城までを描くが、発掘成果の部分はちょっとマニアック、かつ大阪の地理に相当詳しくないと読みにくい。それと別にこの間の歴史経緯が語られるが通説とちょっと角度を変えた見方が提示されている。二重公儀体制という見方はなかなか説得力を持つ。大阪の陣に至る家康の胸中の見方は山岡荘八の徳川家康に通じるものではないか。2017/12/10

さつき

16
大河ドラマ真田丸への期待を胸に読みました。従来言われている説とは違う見解が数件語られていて興味深かったです。一つは関ヶ原の合戦後の豊臣と徳川の二重公儀体制について。また、方広寺鐘銘事件についても徳川方の言いがかりではなく、意図して国家安康の文字が入れられていたとのこと。冬の陣後の惣堀の埋め立てについて。徳川方が無理矢理にやったと広く言われていますが、和議の条件として含まれ豊臣方も了承していただろうと。従来の説によると徳川家康がひどい悪役になっていますが、見方が変わると印象も違いますね。2016/01/03

パトラッシュ

15
秀吉の大坂城が何期にも分けて建てられていく状況や、朝鮮陶磁器など関連史実の話は非常に面白かった。また、家康が秀頼との東西二重公儀体制を志向していたとの説も考えさせられる。確かにそうでなくては豊臣恩顧の外様が西国に集中する関が原後の大名配置図は理解できないし、秀頼時代の大坂の繁栄も当然か。しかし、天下の完全掌握に近付いたのを自ら放棄するなどあり得ず、老いを意識した家康が豊臣滅亡へひた走る心理も納得できる話だ。後半では他に類例がないほど大坂冬と夏の陣を詳細に描いていて、下手な小説より夢中になるほど見事だった。2020/02/10

浅香山三郎

13
笠谷さんには『関ヶ原合戦と大坂の陣』(戦争の日本史シリーズ)といふ著書があり、本書はその叙述を加筆強化されてゐる。大坂の陣の経過をこれだけきちんと書いた本は他にないのではないか。大坂の陣が豊臣・徳川の総力戦であり、豊臣方の武士たちにとつては文字通り最期の奮闘がかなりの戦果を挙げてゐたことがわかる。黒田さんは、過去の豊臣大坂城に関する学説を実際の発掘成果によつて検討。秀頼期の大坂城と城下の改造の様子がよくわかる。私も本書の舞台の幾つかを歩いたこともあるので、土地勘も多少あるが、本書は地図が多いのが有難い。2016/12/12

たくのみ

12
日本一の城として完成したのに崩れ去った大坂城。隠されていたその真実を探り出す労作。最近の歴史研究の成果が盛り込まれている大河ドラマ「真田丸」では、合戦より城づくり、防衛に重点が置かれていたのも、うなづける。せまる「真田と伊達のドリーム対決」そして生まれた「真田神話」。後半の最大の見せ場の舞台裏を一足早く読める本です。2016/08/29

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