内容説明
満州事変時の吉林総領事、上海事変直後の上海総領事、そして日中戦争勃発時の東亜局長と、悪化の一途を辿った日中関係の最前線にあって、軍部独走に抗しつつ和平の道を模索しつつも、最後は敗走のビルマ大使として終戦を迎えた外交官が、日記をもとに綴った第一級の記録。 〈解説〉加藤陽子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヤギ郎
15
外交官・石射猪太郎の回顧録。就職先が決まらず、とりあえず外交官試験を受験するところから、石井の外交官人生がはじまる。上海の大学(東亜同文書院)を卒業していることに若干のハンディキャップを覚えながらも、図書館に籠りながら試験勉強をし、無事に合格をする。なんだかんだで外交官になったわけなので、仕方なしに業務に励むことになる。海外旅行は船、通信は電報という時代の中、ディプロマットとしての交渉術を身に着けていく。戦後史に名を遺す大物との出会いを通して、自身を磨いていく。外交官ならではの苦労話もあって面白い。2020/11/28
若黎
6
読み物としては面白い。2025/02/18
アンコ椿
4
一昔前の外交官の日常がリアルに描かれている。実に興味深い。2025/07/19
linbose
1
★★★★★ 日中戦争時に東亜局長を務めた外交官の自伝。気骨ある外交官だったようだ▼国際協調主義、平和主義、対華善隣主義という霞ヶ関の正統外交の集大成が幣原外交だった。その真価は、諸勢力の圧迫に屈しない信念にあり、幣原後は信念と勇気を欠くことで衰微したと▼近衛、広田らは鋭く批判され、対照的に芯の強い人と評されるのが幣原のほか宇垣一成(外相)。別に革新派(軍べったり)の白鳥ら▼大衆も支持する軍の暴走を止められたのかはパーソナリティにのみ帰せられるものではないけれど、外交や軍を巡る人物評は興味深い▼解説加藤陽子2024/07/12
siomin
1
戦前に海外で外交官を務めた著者の回顧録。ワシントン赴任時には軍縮条約,吉林赴任の時には満州事変,上海赴任のときには日中戦争開戦,さらにビルマ赴任時には終戦と,歴史の舞台にいたので,記述は貴重です。基本的には幣原外交を旨としていたが,軍部の暴走や勝手なことをする居留民,外務省内の勢力争いに翻弄されており,書きたくても書けないことがけっこう多かったのかなと推測します。苦労の連続でも,給金はわずか。赴任に帯同する家族は現地で大病したりと,外交官は厳しい立場であることが伝わってきます。2022/10/11
-
- 電子書籍
- 結婚相手は地雷男~サレ妻美波の逆転人生…
-
- 電子書籍
- オシリスの天秤 -season2- T…