内容説明
日本は右傾化しているのか,それとも「普通の国」になろうとしているだけなのか.いったい,どちらなのか?――政治主導のもと,寄せては返す波のように時間をかけて,日本社会の座標軸は右へ右へと推し進められていった.そのプロセスを丹念にたどりつつ,新しい右派連合とその「勝利」に直面した私たちの現在を描き出す.
目次
目 次
序 章 自由化の果てに
1 現在を生んだ新右派転換
日本政治は「右傾化」したのか/寄せては返す新右派転換の「波」/世界のなかの新右派転換/日本の新右派連合(一)──新自由主義/日本の新右派連合(二)──国家主義
2 なぜ「反自由の政治」へ向かったのか
新右派連合をつなぐのは/さまざまな自由主義/新右派連合の変容
第一章 五五年体制とは何だったのか──旧右派連合の政治
1 二つの歯車──開発主義と恩顧主義
世界的な「国民政党」の時代のなかの五五年体制/吉田ドクトリンと旧右派連合の形成/旧右派連合とは(一)──開発主義/旧右派連合とは(二)──恩顧主義/旧右派連合の保守性
2 革新勢力──「三分の一」の役割と限界
冷戦のなかの保革対立/革新自治体と伯仲国会/中道の成立と保革対立構図の揺らぎ
3 なぜ旧右派連合は破綻したのか
成功の代償/旧右派連合の「コスト」/自由化と包括性
第二章 冷戦の終わり──新右派転換へ
1 新自由主義の時代へ
冷戦末期の国際政治経済/国際協調主義の展開/ 「ツケの政治」からの脱却/中曽根個人の復古的な国家主義/日米安保のなかの自衛力増強/新自由主義改革の幕開け/ 「大統領型」の政治手法と行政改革/民営化と労働組合再編/守勢に立たされた革新勢力/新自由主義化する都市中間層/旧右派連合への揺り戻し
2 自由化・多様化する日本政治
一党優位制の終わりの始まり/激動の一九八九年/ 「山が動いた」/複数政党制のなかの代替政権党づくりという難題/冷戦の終焉と国際協調主義の変化/新右派転換の旗手としての小沢一郎/ 『日本改造計画』/国連を中心とした「積極的・能動的平和主義」の提唱/百花繚乱の自由主義的改革論議/細川連立内閣と新右派転換
3 国家主義──新右派連合を支えるもう一つの柱
限定的な揺り戻しとしての自社さ政権/国際協調主義の最後の輝きとしての村山談話/橋本龍太郎への政権禅譲と新右派転換の再開/橋本行革/日米同盟の強化と国際協調主義のかげり/歴史修正主義バックラッシュの始まり/揺り戻しとしての一九九八年参議院選挙/ 「真空総理」小渕と「ゆ党」民主党/自自公連立から自公連立へ/世代交代と保守本流の分裂
第三章 「自由」と「民主」の危機──新右派連合の勝利
1 小泉政権──「政治の新自由主義化」の時代
パフォーマンスの政治へ/新右派転換の蓄積/聖域なき構造改革と郵政民営化改革/靖国参拝、排外主義、ジェンダー・バックラッシュ/同時多発テロと対米追随/民由合併──オルタナティブ形成への険しい道
2 安倍政権──そして「反自由の政治」が現出した
ポスト冷戦時代の復古的国家主義プリンス/グローバル化時代の国家主義の特性/二〇〇七年参議院選挙に始まった揺り戻し/民主党による「政権党交代」とその崩壊/ 「日本を、取り戻す。」/民主党の総崩れの帰結/衛星政党の誕生と「反自由の政治」
3 寡頭支配時代へ──立憲主義破壊の企て
新右派転換の終着点としての寡頭(少数派)支配/メディア統制とアベノミクス/立憲主義破壊の企てと特定秘密保護法/集団的自衛権──対米追随の寡頭制下の「安全保障」/復古的国家主義の暴走と海外展開/新右派連合の勝利と変質
4 日本政治は右傾化したのか
グローバルな寡頭支配の拡散/雇用劣化と格差社会/国家権力の集中強化と反自由の政治/戦争のできる国へ/歴史修正主義と排外主義/ 「まだ改革が足りない」か
終 章 オルタナティブは可能か
1 民主党の成功と挫折
結実したかに見えた「政治の自由化」/民衆なき「民主革命」/自由主義政党/パンケーキ政党/未完の「政権党交代」/民主党の分裂と崩壊
2 「リベラル左派連合」再生の条件
とめどない右傾化の危機/小選挙区制の廃止/新自由主義との訣別/同一性にもとづく団結から他者性を前提とした連帯へ
あとがき
参考文献
感想・レビュー
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金吾
ヘビメタおやじ
coolflat
ゆう。
Melon Matsuda
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