ハヤカワ文庫NF<br> 火星の人類学者──脳神経科医と7人の奇妙な患者

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ハヤカワ文庫NF
火星の人類学者──脳神経科医と7人の奇妙な患者

  • ISBN:9784150502515

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内容説明

全色覚異常の天才画家、激しいチックを起こしながら巧みに執刀するトゥレット症候群の外科医、みずからを「火星の人類学者」と感じる自閉症の動物学者……『レナードの朝』で世界中を感動させたサックス博士が、患者たちの驚くべき世界を温かい筆致で報告し、全米ベストセラーとなった医学エッセイの最高傑作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こばまり

57
毎度のことながら人間の、脳のセンスオブワンダーに想いを馳せる。7人の患者がチャーミングに映るのは、サックス先生の眼差しや距離感に負うところが大きい。症例としてだけではなく、人として興味を持つからだ。多くの研究者や臨床家は多忙のせいかこれができない。2017/10/02

harass

57
医学エッセイ。障害を持つ7人と彼らからみた世界の考察。自分の目当ては表題の元自閉症の動物学者。テンプル・グランディン。彼女のことは、先日読んだ自閉症スペクトラムの本で初めて知ったが、実は自閉症のことでは有名な人で著作も多いとのこと。著者は彼女に取材して、家や職場を尋ねいろいろな話を聞く。自閉症を脱したが、知能が高いが社会性が乏しく、なんとか悪戦苦闘して社会と折り合いをつけていったのだという。この奇妙な表題は、彼女が正常な人たちと折り合いをつけるときの心地だそうだ。永遠の孤独を感じさせる…… 2016/08/11

25
脳神経科医オリヴァー・サックスが様々な患者達を見つめ、脳の仕組みや病気についてその姿を浮き上がらせていく。面白かったのは、目の手術をして見えるようになったのに「見えない」話と、自閉症患者が観察を積み重ね、何とか社会的に自立して生活を送ることができている表題作。2019/12/04

Ayah Book

20
医師のオリヴァー・サックスさんが、研究の為出会った7人の障害を持つ人々。トゥレット症候群や自閉症など興味深い症例が並ぶ。あとがきにもあったが、小説風に描くことによって、それぞれの人を鮮やかに浮かび上がらせている。特に魅力的に感じたのは、トゥレット症候群の外科医ベネット博士。彼はチックの症状を見せながらも、とても明るく知的で、手術の腕は見事である。他にも脳腫瘍のために別人のようになってしまったグレッグは、いつも上機嫌だが何もかも忘れてしまう。とても胸の詰まる切ない話だが、ユーモラスでもあった。良い本です。2020/01/14

兵士O

18
僕の職場には、若い自閉症のT君という同僚がいます。彼と話す時はこの本の「神童たち」のスティーヴン少年のように、ちぐはぐな会話になります。でもサックス博士がスティーヴンに「人間性」を探そうとして、見出せなかったこと(と僕は読んで判断した)と違い、T君はギャグが分かる男だと僕は思っています。例えば、「コンプライアンス的に大変なアレな子」とか仕事中叫んでいて、僕がハモると同志を見つけたかのようにニコニコ笑います。サックス博士のように専門家としてその人を観察するというよりは、ネタが通じる友人として僕は見てますね。2021/01/17

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