内容説明
雷に打たれ蘇生したとたん音楽を渇望するようになった医師、ナポリ民謡を聴くと発作を起こす女性、フランク・シナトラの歌声が頭から離れず悩む男性、数秒しか記憶がもたなくてもバッハを演奏できる音楽家……。音楽と精神や行動が摩訶不思議に関係する人々を、脳神経科医が豊富な臨床経験をもとに温かくユーモラスに描く。医学知識満載のエッセイは、あなたの音楽観や日常生活さえも一変させてしまうかも?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
naoっぴ
73
音楽とは、芸術とは、人間の生存には不必要であるにもかかわらず、なぜこんなにも重要なものなのか。その不思議を音楽にまつわる病的症例を挙げながら解説したエッセイ…というか、症例を集めた教科書のような印象の本でした。膨大すぎる症例に興味深いところだけをつまみ読み。音符が頭で動いて止まらないとか、あるフレーズだけが離れない(CMソングとか・笑)などは誰にも覚えはあるけれど、ここまでくると一大事。脳と音楽の関係はいまだに謎に包まれ、神秘のベールの中なのですね。2016/03/09
絹恵
55
心に留めておくことが出来ない音と、心と同期せずに流れ行く音の波のなかで暮らすことは、心ではどうにも出来ないことなのかもしれません。それでも人間は誰もが奏者と聴者になり、その音楽は盾にも矛にもなって惑わせたり癒したりします。だからこそ散らばった音が、誰かの、または自らの意志のもとで重なって生まれる音楽は、自由で不自由な、まるで人間の脳を映すように。自分自身を宿すように。2014/11/15
chanvesa
31
431頁~の、母を亡くしたサックス先生が母を偲び、D.F=ディースカウの「冬の旅」を聴きに行くも、まったく感銘を受けなかったが、数ヶ月の時間を経てゴルドベルク変奏曲でようやく音楽が心に還って来たという話。吉田秀和さんの奥さんが亡くなられた時の話を思い出した。この本のあちこちにバッハの音楽がエモーショナルな世界と別であることが出てくるが、何となくわかる気がする。歳をとって記憶が覚束なくなったとき、私の心には何の音楽が残っているのか、恐ろしい話だが気になる。2015/09/12
Nobu A
29
久々の更新。成毛眞推薦本其の廿弐。14年刊行。正直一知半解。筆者は今でも印象に残るロバート・デニーロ好演の映画「レナードの朝」の原作者でもあり脳神経医。自身の臨床経験を基に音楽と精神や行動の関係性を綴った医学エッセイ。私自身、音が奏でる世界に今までどれだけ平穏や高揚を感じてきたか。そう言う意味で感興を唆られたが、体系的に何か得たのかは曖昧模糊。併読でダラダラ読んだかせいか。翻訳を通しての異文化特有の粗さのせいか。興味深い箇所が幾つかあったが、今一つ咀嚼が困難だった。最月葉月著書「絶対音感」に期待したい。2023/06/18
サケ太
22
これは個人的に非常に興味がある題材。音楽に関わる様々な症状、そして音楽によって特異な反応を見せる症例。音楽療法ってのにも手を出すべきか。ガチで論文のネタになりそう。だが、それ故に多少なりとも脳の機能などに触れていないと難しめ。2020/03/28
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