内容説明
黒木あるじの怪談実話シリーズ第6弾! 怪異がこちらを包囲し、にじり寄っている気配を感じる――周囲で大小さまざまな怪異が頻発しているという著者のもとに、さらに死体や遺骸にまつわる話も増えてきた……。
恨まれたら化けて出るのか…知りたくて人を殺めた男の本当の恐怖「殺人」、祭が終わり、様子がおかしくなった子供に何が起きたのか「鬼祭」、連鎖するように集まった写真に纏わる怪異「捨真」「朝写」「念写」、遺産のことで母親の葬儀の最中もいがみ合う兄妹が見た母の怒り「軋怪」など39話。
寄ってくる怪異は黒木を中心とした恐怖の大渦となり、読者をも巻き込んでいく。誰も救われる道はない。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
173
恐怖の申し子と異名を取る黒木あるじさんの魅力がたっぷりと味わえる素晴らしい出来栄えの一冊で、読み終えて著者の人気の理由が一発で理解できましたね。本書は39編のタイトルが全て二字熟語にしてあり、これは歌手さだまさしさんが昔アルバム「うつろひ」で試みられた趣向なのですね。まあこれは全く関係ない脱線の話ですが、とにかく著者は緻密な構成で読者をとことん満足させてくれる一流の怪談職人さんだと思いますね。『年惠』著者が地元新聞日曜版の特集記事を執筆した時の話で、内容は山形県内の明治以降に活躍した偉人についてであった。2021/01/10
ゆみきーにゃ
63
《購入》またまた実話怪談。安定の黒木さん。今回は怪談より殺人の話をする話者が一番怖かった。やっぱり人間が一番怖い!2017/04/14
HANA
54
実話怪談集。安心の黒木あるじなんだけど、今回は筆者の身に絡んだメタな作品も多いような気がする。逆に持ち味だった東北の民話調の話は少な目。実話怪談としては珍しく心霊写真を扱った作品もいくつか散見され、中でも異常に詳しいシチュエーションと作者の身に絡んだ作品がなかなか素敵でした。全体的にレベルが高かったけど、特筆すべきは「殺人」か。ラストも嫌感満載だったけど、犯行途中の描写がそれに輪を掛けて嫌。平山夢明の作品に通底するようなテイストを感じるなあ。実話怪談数多いけど、ぽこりとこんな作品も出るので目が離せない。2015/06/09
ネムコ
31
やっぱり黒木あるじさんのお話は好きだなー。あっという間に読めちゃう。殺人犯の話がエグかった。2018/07/27
ラルル
26
何だか今回は妙にゾワゾワが近いなと感じながら読んでいたのですが、あとがきを見て納得。近い感じがしたのはそのせいか~。この本と平行して別の怪談本も読んでいたのですが、やはり比べるとあるじさんは文章がとても読みやすく状況把握がしやすく、その為読み手が恐怖をきちんと感じられるんだなと思いました。最近はラジオ放送も面白く益々FANになりました^^2016/04/30