内容説明
日本版「フランダースの犬」の誕生!
第二次世界大戦で両親をなくした少年、ツヨシ。
幼い彼の前に現れたのは、虐待同然に働かされ、捨てられた大型犬だった。
ツヨシはその犬に「ソラ」と名付け、家族同然に生活を共にし始める。
生まれて初めて平穏な日々を過ごすことになった犬が心に宿した、飼い主への感謝と愛。
しかし、別れのときは刻一刻と近づいてくる――。
「犬の愛」が最後に行きつくところとは、いったいどこなのか。
「フランダースの犬」へのオマージュとして描かれた、傑作長編小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chimako
90
少年と犬の話。そう聞くだけで悲しいことが起こるのではないかと身構えてしまう。掘っ立て小屋に年老いたおじいさんと住むツヨシ。飼い主が殺されてしまうという悲劇を目の当たりにしてしまったソラ。今日の食べ物にも事欠く祖父と孫は傷ついた瀕死の犬を助ける。家族が増えた。ギリギリの毎日にも楽しみがあり夢もあった。なのに……。辛く悲しいことは続く。年月は経ち大人になったツヨシ。何故、テルアビブなのか。そこのところは少し強引だが全編に流れる無私の愛情は心を打つ。ソラの声が聞こえたのならば引き返そう。まだ、間に合う。2016/06/08
ケロリーヌ@ベルばら同盟
51
【11.1.犬と読書】雨が降る。夢敗れ、ずたずたに引き裂かれた戦士のむくろの上に…。天に輝くちいさな愛の星は、ふたつに別れて、仔犬と男の子の魂に宿った。愛すること、献身すること。酷暑の中一陣の涼風に感謝を捧げ、厳寒の雪空に互いの温もりを幸せと感じる。貧困の底で、世俗の汚穢に踏み躙られ、それでも全ての生きとし生けるものの幸福を願い、明日を信じ熱く命を燃やす地上の星。嗚呼ソラ、五月の青空を瞳に、飛行機雲を左脚に宿す奇跡の犬。ツヨシと空の彼方へ飛んで行け。この銀の雫は、涙ではなく、大地を育む慈雨だと信じさせて。2020/11/01
りょうこ
50
これはちょっと感想難しいな。何の予備知識もなく読み始めて..途中で日本版フランダースの犬ってのはわかったんだけど..ラストが衝撃的だった。思わずWikiっちゃったよ。なるほどねぇ。そーなのかぁ。はぁ。いろんな意味で泣く。せめてこの本の中だけでは最後にツヨシにソラの声が届いて欲しい。2016/03/19
星落秋風五丈原
30
うわあ最後はそっちにいっちゃうんだ 日本版フランダースの犬らしい。2024/01/11
洋
30
両親を亡くし安じいと2人貧しい生活を送るツヨシ。夏祭りで賑わう神社でぐったりしていたシベリアンハスキーを見つけ『ソラ』と名付け一緒に暮らし始めた。勤勉で誠実なツヨシは 不平等な社会と闘って差別も貧富の差もない 自由で平等な本当の幸福を望んでいた少年だった。只貧しかっただけ。最後まで読んでから一番最初にあった引用文の『奥平剛士』誰だこれ?とググってみてこの作品に対する印象が全然違うものになりました。軽く衝撃、フランダースでも忠犬○公でもない深い何かを感じました。『天よ、我に仕事を与えよ』2015.09.102015/10/22