内容説明
組織に属さず、ヤクザのような「暗黙のルール」もない無法の集団「半グレ」――。半グレはどこからきてどこに棲み、なにを資金源としているのか。だれも書けない現代社会最大の暗部に鋭く斬り込む巨匠・溝口敦の傑作ルポが新装版で待望の登場!
目次
序 章 想定外な組織犯罪地図の地殻変動
第一章 六本木の半グレ集団
第二章 半グレ集団とは何か
第三章 暴力団の現状
第四章 半グレ集団のシノギ──原点にヤミ金があった
第五章 振り込め詐欺──技術進化する半グレ集団
第六章 弱者を食う仕事
第七章 境界にいる共生者たち
第八章 暴力団もマフィア化を目指す
第九章 特殊日本型ヤクザの終焉
第十章 警察と半グレ集団が暴力団に代わる日
図表──暴力団の最新情勢
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
緋莢
12
図書館本。<反社勢力に起きている地殻変動は単に暴力団の退潮に原因があるばかりではなく、半グレ集団の 急激な台頭も要因の一つである> 「序章」にこう書かれているように、朝青龍や市川海老蔵の事件、六本木クラブ襲撃で、人違いでの殺人が起きてしまった事件など、注目された〝半グレ”の事や表社会以上に貧富の格差が進んでいる〝暴力団”の現状について書いています。六本木クラブ襲撃事件について<事件は関東連合OBたちの兇暴さを喧伝することになったが、同時に関東連合OBたちの命運を尽きさせた。(中略)(続く 2024/10/12
Katsuto Yoshinaga
8
ノワール系や犯罪小説を数多読んで知っているつもりだったが、わかっていないことだらけだった。1992年に施行され2012年に強化された暴対法により、暴力団はかなりがんじがらめとなっている。えらい人は使用者責任で連座させられるし、組員は住居を借りられず、銀行口座も作れなくなり、何かと不便な暮らしを強いられる。ヤクザ受難の時代になったわけだが、「一人ふたり殺して死刑になる時代、ということは警官や検事、裁判官を殺すことを恐れてはならない」と語る組長もいる恐ろしい時代にもなっているそうだ。(コメに続く)2023/08/21
おおかみ
5
仁義なき社会の仁義なき現実。最近の山口組の動きなどはまさに延長線上にあるのだろうが、日本における組織犯罪の地図は大きく変容しつつあるという。暴対法や暴排条例によって暴力団の取り締まりが強化され、結果的によりタチの悪い半グレ集団が跋扈しているのだとしたら、こんなに皮肉な話はない。著者は、暴力団対策に偏重する警察行政や法律の不備を指摘。かくも激しい地殻変動を、手をこまねき見ていることはもはやできない。2015/09/21
OjohmbonX
2
暴対法でヤクザを締め付けると、マフィア化して見えにくくなったり、ヤクザ以外の反社勢力に取って代わられたりしていく。社会からドロップアウトしてしまう人、暴力や犯罪に頼って生きざるを得ない人たちの総量自体が実はそんなに変わらないのだとすると、警察が実態を把握してしっかり組織化されて規律で縛られたヤクザみたいな集団に包摂された方が、社会全体としては治安が安定するのだろうか、とは思ってしまう。2020/10/01
Iceman
0
半グレの資金力稼ぐ能力胆力ヤクザと一線を画すニューカマー2015/09/29