内容説明
寝ている間に手足と体をしばられ、台車にのせられて小人国の都につれてこられたガリバー。小山のような人間に、都は大さわぎ! 左足を鎖でつながれたガリバーは、小さな皇帝と会うが……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
102
1726年出版。4篇からなる壮大な旅行記で何と言っても有名なのは、小人の国に漂流する『リリパット国渡航記』だろう。これに巨人の王国での冒険を描いた『ブロブディンナグ国渡航記』までが、20世紀に広く読まれた児童文学としての『ガリヴァー旅行記』だ。しかし、本書の真骨頂は続く2篇の痛烈な風刺の物語にある。空飛ぶ島『ラピュータ』から苦難の末、日本到着までの第3篇。高貴で知的な馬の種族と、邪悪な人類『ヤフー』が描かれる『フウイヌム国渡航記』は人間社会への呪詛に満ちている。海外では政治文学としても読まれているそうだ。2015/12/17
スター
63
大昔に読んだ本の再読。面白い。ガリバーが訪れる架空の国のありようが興味深い。架空の国の多くが太平洋にあり、日本も含めた実在の国にもちょっとだけ訪れる。 当時の太平洋は、ヨーロッパ人にとって、未知の世界だったのだろう。架空の国の政治や習慣を描く事で、当時のヨーロッパ人の欺瞞や悪癖を暴く風刺小説にもなっている。 後、下品なネタがたまに出てくるので、そういうのが苦手な人は、ご注意を。2019/07/06
こきよ
60
スウィフトが、ジャーナリスティックな視点をも併せ持つという点に於いては、西洋絵画史に於ける、同時代のホガースや、後のジェリコーを、想起させますね。風刺や寓意、さらには激しい批評性というものに溢れており、文学や絵画表現というものが、この時代の先端の情報媒体だということが、よく解る作品ではないでしょうか。2014/07/02
すしな
59
094-23.旅のラゴスを読んで、カリバーっぽい?と思ったのがきっかけで読み始めました。ガリバー旅行記の絵本は誰もが一度は読んだことがある本だとは思うのですが、原書はそのファンタジー要素よりも、江戸時代中期のイギリスの世相を風刺した大人向けのSFっぽい内容だったので、若干面食らいましたが面白かったです。また、政治家、法律家、医者に関する風刺は、現代に通じる部分も少なからず有り、なかなか読み応えがありました。2023/09/09
Shoji
59
色んな意味でびっくりさせられた本。ずっと小人の国の物語だと思っていた。大巨人の国、天空の国、馬の国やら、こんなの全然知らなかった。まして、日本にも来ていたなんて。まず思い知らされたのは、うわべだけではダメだってこと。日本に来ていたなんて実際読まなきゃわからない。著者が言いたかったことはなんだろう。他者へのリスペクトやダイバーシティか、戦争の愚かさか、人間の強さか。それとも弱さか。冒険小説だと今までずっと思っていた。違ってた。色々詰まっている社会派小説。脱帽しました。2019/06/13




