内容説明
明治大正に生きた名門窯元夫人の鮮烈人生。
有田焼が誕生してから2016年で400年目。その節目を前に、名門窯元に嫁いだ女性の鮮烈な生き方を描く。
東京の女学校に通うモダンガールが大恋愛の末に嫁いだ先は皇室御用達の名門窯元だった……。
大正13年に佐賀県有田町の駅に降り立った一人のモダンガール。手にはバイオリンを携え真っ赤な薔薇のコサージュをつけた幅広の帽子をかぶっていた。
「それはまるで天使が降り立ったようだった」
と町の人は噂した。
旭川の実業家の家に生まれ、東京の女学校で学ぶ敏子。恋に落ちた相手はパリ万博で金賞の栄誉に輝いた名門窯・深川製磁の2代目だった。女学生の身で妊娠。そして21歳で有田の深川家に。自由奔放な生き方を愛する彼女と激動の時代ゆえの試練。薔薇のように華麗に生きた彼女の31年の生涯を感動的に綴った小説。
人気エッセイスト伊藤緋紗子氏が執筆した初の小説作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Totchang
8
明治の時代の女性の権利を押さえつける良妻賢母の思想から、朝ドラ「花子とアン」に出てきたらいてう、白蓮など、大正の時代の女性解放の思想への転換期に焦点を当てて、女性の生き方を見つめた作品です。小説としては「良妻賢母の・・・」という説明が何度も出てくるし、義母と主人公とのやり取りを説明として書いて、登場人物の口で話させることが少ない点が残念でした。狙いはいいのに、作者の「あとがき」「文庫版あとがき」「附記」までも載せているということは、小説として未完成なのではないかと考えることもできると思いました。2018/04/14
かさご
0
佐賀県有田の深川製磁に嫁いだ北海道 旭川のお嬢様のお話2018/06/03