内容説明
全国紙の元社会部記者が新聞業界「最大の暗部」を描いた、衝撃ノベル! 新聞の原価は購読料の6割!? 新聞は「折り込み広告の包み紙」!? 「押し紙」を巡る新聞販売店主との激しい攻防、知る人ぞ知る「大幅値引き」、まさかの「公称部数の水増し」……。さらに、「天ぷらカード」、「抜き取り」、「ゴミ出し」、「預け」、「ピンピン」、「ピンサン」と次々出てくる隠語の数々。はたして「闇」はどこまで深いのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
58
某大手新聞社。編集局から販売局へと左遷された元社会部の記者は、担当地区の販売店を束ねる担当員となる。…なんとなくうさんくさい新聞の勧誘、怖そうな人が多いのでドアをあけることはないのですが、なるほど!こんな仕組みがあったのですね。この小説、大きな事件が本題になっているわけではありません。それでも知らなかったこと、それも不可思議な「闇」「慣例」「用語」が面白くて、引き込まれてしまいました。そして主人公が理不尽な仕打ちの仕返しを企てていくうちに、声援を送ってしまいました。元記者の処女作のようですがオススメです。2015/10/16
も
50
新聞社版半沢直樹みたいなかんじ。編集局から販売局へ異動させられた神田が販売局の闇を暴く。入金足りない分を自腹で立て替えなんて絶対ありえない!こういうことが横行してるんでしょうか。とてもまともじゃないです。2016/09/11
fwhd8325
44
時折勧誘にやってくる専売所の方が、たくさんの景品をエサにしたり、購読料の無料サービスなど、どういう仕組みなのか、モヤッとしていましたので、大いに参考になりました。どんな業種にも大なり小なりの闇があり、端から見れば、どこか滑稽にも感じるものです。この小説にもそうしたコントじみた滑稽さを感じます。あの大マスコミ企業が、こんなお粗末な世界だとは、何とも複雑でございます。2016/06/28
おさむ
40
元全国紙記者のデビュー作。ネットによると、実体験とフィクションの混在だそうですが、新聞社の「闇」の部分はリアリティーを感じさせます。内輪向けな印象も受けたので、次回作はぜひ新聞社以外のネタで勝負してほしいですね。2015/12/12
R
33
新聞社を記者ではなく、企業、それも販売局という部門にフォーカスした小説でした。非常に面白かった。新聞社が抱える企業としての問題点を描いていて、しがらみや悪弊、旧弊に蝕まれている販売網のいざこざが克明に描かれ興味深い。販売店とのやりとりで発生するリベートのような約束事など、かつての電器メーカー販売店を思わせる商習慣に昭和を見てしまう、ここまた斜陽なのだ。物語後半は、なかなか胸のすく展開もまっていてエンターテイメントとしても充実した小説でした。2016/03/03