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内容説明
滝沢馬琴の名作『南総里見八犬伝』で知られる房総の戦国大名・里見家。しかしその実像はこれまで、史実とフィクションの入り混じった八犬伝によって、かえって陰に隠れてしまっていた。本書は、里見家中興の祖・義堯の波瀾万丈の人生を描いた長編小説。甥・義豊との骨肉の争いを制して里見家の当主となった義堯は、安房一国を統一、関東制覇を目論む日の出の勢いの北条氏に敢然と立ち向かう。敵味方入り乱れての戦いが続く関東の地で、一時は房総半島全域に勢力を拡大するも、北条氏に二度までも大敗。絶体絶命の窮地に陥るが、そのたびに義堯は家臣一丸となり、不屈の闘志で存亡の危機を乗り越えていった……。弱肉強食の覇道が横行する戦国にあって、宿敵・北条氏からも「仁者必ず勇あり」と、その人柄と戦いぶりの見事さを称えられていた里見義堯。北条の野望を阻むとともに、ひたすら領民の安穏と繁栄を願い、戦いに明け暮れた勇将の真実の姿に迫る力作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
21
里見家の内紛から始まって安房、上総を平定するも第一国府台、第二国府台の戦いとここぞというときに直接戦の指揮を取れず、不本意な形で負けてしまう里見義堯の人生を描く。しかし、滅びないのは巧みな外交力と海軍力の賜物で常に三浦半島方面は海軍で脅かし、上総、下総方面は小大名と手を組んで、北条氏に対抗していた。2018/12/16
TheWho
11
南総里見八犬伝のモデルとなった安房の里見氏の全盛期を築いた里見義堯の一代記。父実堯を当主里見義豊に誅殺され滅亡の危機に陥った義堯は、仇敵の北条氏綱と結び本家の家督を奪う事となる。その後小弓公方の争乱で北条氏と対立に乗じて房総半島を席巻するが、北条氏康期に再び滅亡の危機に陥る。しかし上杉謙信等と同盟を図り深謀遠慮の政略を駆使し北条氏を反撃する。関八州を席巻した北条氏と真っ向から対峙しながら強かに生き残った里見義孝が房総半島で繰り広げた隠れた戦国争乱を描写した一冊です。2022/05/17
穀雨
5
房総半島の先端という、常に背水の陣を強いられる地にありながら、戦国時代を生き延びた里見氏。その最盛期を築いた里見義堯の生涯が描かれている。PHP文庫の歴史物の例に違わず、史実を重視した堅実な構成だが、決して難しいことはなく、すらすらと読み通せた。知られざる関東戦国史のひとこまを垣間見た気がした。2020/01/28
BIN
3
タイトル通り北条の野望を防ぎきった里見家の話。北条家により房総の端っこに追い込まれても我慢に我慢して隙を見て房総を制したのは見事としかいいようがなく、よく表現できている。正木時茂との関係もいいし、万年君と民に尊崇される姿も良い。良作です。2011/04/15
キャシー
1
興味深い話だったな。武将の里見義尭の話から始まり、息子の義弘が幼なじみで鎌倉の尼僧になってた女性を連れてきて結婚しちゃったり(ここの義弘と父・義尭の会話が面白い。)、娘の種姫も一途な女性で好感が持てた。それから、当時の主と家来の関係も本の全体を通して分かりやすく書かれてあってよかった。2015/07/04