内容説明
「国家」「国民」「個人」「人権」「主権」など、法について、民主主義について、論じるための重要なことがらを解説。歴史的背景も明晰な言葉で語った本格的な入門書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
36
国民主権は国民みんなで決めること。人権は自分のことは自分自身で決めること。平和はもめ事を武力で決めるのはやめようということ(9頁)。全国民の代表として憲法を制定しようというのがシイエス『第三身分とは何か』岩波文庫(22頁~)。人間らしく生きたい、ヒューマンな生き方をしたい、というねがいを支えてゆくための権利主張をひろく人徳と呼ぶが、T・ペイン『人間の権利』岩波文庫では、権利主体が身分制拘束から解放された人一般としての個人を意味する(50頁)。2016/03/08
coolflat
17
30頁。憲法にも「日本らしさ」「民族の誇り」を盛り込もうという主張がある。単数形で民族を語る事のもつ意味の破局的な効果に私達は敏感でなければならない。殊更に自国の「らしさ」を強調するのは社会主義国や第三世界などに見られる例だった。立憲主義を掲げる社会にとっては自国の「らしさ」に言及する場合でも、多様な「らしさ」をそれぞれが追求する事を許容する枠組みを憲法が保障するのが自国の「らしさ」であり「誇り」とするところなのだと考えてきた。その現れの一つとして、複数形で民族や言語に言及する憲法の例は決して少なくない。2017/01/13
樋口佳之
4
「人」(homme)であることの「淋しさ」に耐えながら、同時に「市民」(citoyen)として公共社会をとり結ぶ連帯の担い手になること。/それが近代憲法の骨格をなすものだ/「淋しさ」に耐えることは万人にとって可能なのでしょうか?まず、「淋しさ」に耐える人となることが大切なのでしょうか?読み進めていくと何か心が冷めていくような…。/突きつめた、厳しい議論が展開されている本だと思います。2016/04/04
きなこ
3
目を通した。2019/08/09
林克也
2
自分にとっての教養にはなったが、赤坂真理「東京プリズン」と併読したことで、かなり醒めた目で読んでしまった。とにかく、真っ新な若い人たちが読んで思考・視野を広げる取っ掛かりになればいいと思う。それから、この手の本は反知性の人達、そして今権力を手にしている人たちは決して読まないだろうし、たとえ読んだとしても主旨を理解しない(できない、ではなく)だろうと、改めて思った。2015/11/30