内容説明
不慮の事故に巻き込まれて亡くなった15歳の少女・アズサは、見知らぬ場所で目を覚ました。傍らにはカーゴと名のる少年。そこは、心残りを抱えて亡くなった者がたどり着く“霧の壁”の向こうだという。知る人もいない世界で、再び“生きる”こととなったアズサ。しかし、そこは武器商人が権力を握る退廃的な町で? 2011年度ノベル大賞受賞作家が贈る、世界と再生の物語――。
目次
プロローグ
第一章 霧の壁をこえて
第二章 ロスト・グレイ
第三章 これまでとこれから
第四章 静かな夜明け
エピローグ
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅
16
読友さんの真似をして購入(笑) とりあえず表紙が綺麗だなあ、と。そして表紙にあった、静かで綺麗な物語でした。コバルトではなく児童書のレーベルのほうがいいんじゃないか、と思いました。しかし全体的な設定とか雰囲気とかとても良かった、とは思うものの、サムシィの正体とか終わりがけの伏線回収が少々微妙かなあ、と思いました。少なくとも私にとって納得のいくものではありませんでした。2012/08/07
山吹夏芽
14
主人公は生還し、静観する。時折、今の混沌とした社会や環境やら、皆が抱えている鬱屈したもろもろをずばりと言い当ててるところがあるんですよね。やっぱりこういったいい意味での異色作が表に出た背景には、なにかと難しいこの時期だからこそ、っていうのがあるのかもしれないですね。2012/08/07
幸音
10
絵師買い。イラストは登場人物紹介と章の扉のみで、挿絵は無し。読み終えた感想としては、私の思う少女小説ではなく一般向けの小説だということ。なぜわざわざ少女小説レーベルのコバルトで出すの?という感じはする。静かで淡々とした文章ですっと入り込んで来るけど、カーゴの変化が分かりづらかった。優等生タイプの主人公の起伏があまりないからか、普通という感じ。でもゆるく読める。系統で言えば、不思議な世界に紛れ込むという点や静かで緩やかな雰囲気は村山早紀の「竜宮ホテル」に似てるかな?飄々として掴めないサムシィが好きです。2012/08/03
ハルクイン
8
竹岡さんのイラストと世界観が好みだった。ただ、霧の壁の向こうからも壁を越えられるのかが気になった。もしかしてシリーズ化するのかな。2012/10/17
さつき
7
なんだかなあ…いろいろもったいない。何にも感情移入できないまま終わってしまった。もうちょっと主人公に個性が欲しかったというか。ほとんど三人称みたいな一人称が妙に読み難い。けっきょく主人公たいしたことしてないし、カーゴが主人公の何に影響されたのかもよくわからなかった。でもこういう変わり種を出してくること自体はとてもうれしいので、この人の本はまた読んでみたいなと思う。あ、サムシィの正体はいくらなんでもお約束すぎだと思うけど、それが逆にいいのかもな、とも。2012/08/03