内容説明
あかるく澄み切った日本語による正確無比な翻訳で、いま、ツァラトゥストラが蘇る。もっとも信頼に足る原典からの完全新訳。読みやすく、しかもこれ以上なく哲学的に厳密な、ツァラトゥストラ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
127
「神は死んだ」の言葉が有名なニーチェ。その世間への言い分をツァラトゥストラなる人物に乗り移らせて語ったといえるでしょう。上から目線であり、且つ斜に構えた見方で世間を見ているのは当時の社会情勢から考えると斬新だったのかもしれません。キリスト教思想が蔓延する中、独自の論理でそれを打破しようとした姿が伺えます。当時の常識に反している意味でも危険な書物だと言えると思いました。2017/01/26
zirou1984
48
新訳で再読。佐々木氏の扇情的な文体は本書の内容に良く似合っており、過去最高にニーチェを楽しむことができた。道徳より疾く、倫理より尊く。思想書というより散文詩めいたこの書物は、世界の紐帯を切り刻む鎌鼬の様だ。荒れ狂う嵐はルサンチマンを切り刻み、世界の前提を覆す永劫回帰もその先にある超人への道も、理解すること以上に乗り越えられていることを望まれている。三部までは眼前でチキンレースを観戦するかの様な痺れる感じがあったのだが、信者たちとリア中祭りをダラダラと続ける最終部については蛇足以外の何物でもないだろう。2015/12/24
たかしくん。
46
新訳にて再読。改めて、ニーチェ自身は思った以上に変人ですね。その思想にも危険な部分もあり、決して諸手を挙げて共感できるものでもありません。本著は、ツァラ~という世捨て人が、上から目線で世の中を斜に構えてああだこうだ言ってきます。そしてその独特のレトリックに満ちた表現がまた痛快なのですが、まずもってそれがメインでないということにも注意です!その上で、当時としては斬新だった「神の否定」「超人」「永劫回帰」、キリスト教思想に包まれた当時の西欧社会に対する問題提起としては、相当なインパクトがあったのでしょう。2017/01/13
tonpie
45
読み始めることはできるが、読み終わることができない。そんな本のひとつ。最近読んだ、デ・キリコ論の連想で手に取った。デ・キリコの「通りの神秘と憂愁」の画面の中を、竹馬に乗ったニーチェが歩いている。竹馬に乗ると、人間より少しだけ遠くが見える。でも、調子に乗っていると、かなり危ない。「善人たちの愚かさは底が知れない。(略)わたしは同情から嘘をついた、彼らのひとりひとりに接するそのたびに・・・その者がどれくらいの精神で満足し、どれくらいの精神が過剰で耐えられないのか、見てとり、嗅ぎとったからだ。」↓2024/02/14
ころこ
42
小難しい小説を読んでいると、哲学的な問題に突き当たることがあります。他方で、対話篇など、哲学書が論文の形式をとると決まっているわけではありません。小説と哲学のハイブリッドがないかな?と思い、誰しも最初に見つけるのが本書です。哲学書が難解と感じるひとにはお勧めです。影(キリスト教的ルサンチマン)の無い正午が登場するのが470ページです。何なら、冒頭から正午を書くことも可能なはずです。果たして、ニーチェは正午を書きたかったのか、正午を求める自らの姿を書きたかったのか。純粋に正午を求めるならば、470ページまで2019/10/04
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