内容説明
子供達と戯れる良寛の姿に近世の詩文と思想の運命をみる「良寛」を始めとした良寛論の決定版。詩人と僧侶の間で揺れ動く良寛を鋭く描きだした労作。水上勉との対話も収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mura_STEPUP
76
前に読んだ本「MY TIME」に出てきた良寛。ただ一番最初の本として歴史も知らずの私には、難しすぎたようだ。良寛の世界に入ってみる、「愛語」に対してこだわっていた。「愛語」は、憎しみや他者の勘にさわる言葉を使わない。子どもにさせてはいけないこと、してはいけないこと。途中の大部分を占める詩と解説は読み込みが足りなく、内容が掴めなかった。簡単な本があれば読んでみたい。[覚え]愛語 理屈っぽいもの、人の隠すことを明かす、推測に過ぎないのに断定的に言う、推しが強い、品に似合わね話をする、人の器量のあるなしを言う2018/10/04
さっちも
18
良寛に四つに組んで格闘する著者に、感動を覚えずにいられない。好きな箇所の抜粋→良寛の詩といえども、大部分はわたしたちの判断をはるかに超え、他者の理解を拒絶したような詩です。謎の炭火を大桶の灰のしたにかき消してしまいます。わたしたちは、たぶん良寛に試みられているのです。あるいは良寛に象徴されたふかい無為の情操に試みられているのだろうと思います。人によってはここでいちばん理解を拒絶したとみられる詩が、いちばんわかりやすいこともありうるかもしれません。「我は是れ物外無事の僧/君も亦昇平の一閒人/終日相見て他事な
ダージリン
2
新潟に住んで数年になるが、やはり良寛は知っておきたい気持ちがあって手にしてみた。良寛の詩を通し、その人柄の一端を垣間見られたような気がした。暗い陰影に色取られた詩にはある種の凄味が感じられ、これまで抱いていたイメージとは全く違った良寛像が結ばれた。ここで語られる漱石論も興味深かった。2010/10/07
McLean
1
うーむ、良寛は道元に対して「敬して遠ざける」と言うか、深く尊敬はしているのだけど、自分の進む道とは違うとの自覚があったのかな。確かに独特の世界であり、親しみやすいようでいて、実はなかなかとらえにくい。吉本氏を通して見ると、こちらの見方がまるで皮相であったことに気づかされて、ますます難解なものになって来る。良寛は遥か遠くにあると実感させられた。2019/09/16