内容説明
20代有吉佐和子の天才が輝く傑作短篇、復刊!
女犯の咎で寺を追われた僧侶、王昭君の肖像画を描く画家の懊悩。人間普遍の精神の血しぶきを鮮やかに描く初期傑作短篇集!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
56
8つの短編(一つは戯曲台本)が収められている。筆者、20歳代の初期物。時間的には1955~1961.私にとっては不可思議な時間・・生まれていたけど幼児・・空気感がつかめぬものの、読んでいて何となく作背景が見えるような。才能が迸っている感・・言葉がキラキラしている。私の記憶にある有吉さんは「才女・・近寄りがたい!」圧巻は表題の「ほむら」女反という非日常的言葉ながら「寺を追われた後の20年の修行が試される」その極地とは・・分かるような分からないような世界。解説を担当している伊吹氏の文が理解し辛い。2024/12/13
たぬ
35
☆4 有吉氏6冊目、作者20代の時の8編。相変わらず戯曲の面白さは理解しきれない私だけど小説7編は楽しめた。魂を削ると言おうか鬼気迫ると言おうか、どの話の登場人物も生き様が濃ゆくて若干の読み疲れはあったかもしれない。特に「紫絵」の白滋、「第八戒」の華鶴にそれを強く感じた。2021/08/26
ken_sakura
26
よく切れる包丁のような8編の短編集(^_^)あの世から新作を出版する方法は無いのかしら?と希うと同時に、生き返って欲しいとは思わない何かを感じる有吉佐和子の初期の作品(とてもほめてます♪( ´▽`))どの短編も感じが強く、良かった。強いて、主人公お勢が好きなので「「薬湯便覧」由来」が一番好き。2017/04/14
penguin-blue
26
その昔「華岡青洲の妻」を読んだ時の鮮烈なショックは忘れられない。「恍惚の人」「複合汚染」「非色」等、重たいテーマを人に先んじて主題とし、でも小説はどれもテーマに負けずに「人が生きている」ことが本当にすごいと思う。この本は主に20代の時代物の作品を集めた短編集だが、どれも色合いが違い、本当に粒ぞろいでページ数以上の満足感。特に切支丹でもないのに踏絵が踏めなかった遊女の話「第八戒」は遠藤周作の「沈黙」が話題になっている今読むと非常に印象深い。2017/03/20
那由多
18
表題作の『ほむら』よく分からず、人生の修行不足を痛感した。『落陽』王昭君の肖像画エピソードにこんな味付けをするなんてゾクゾクする。2024/05/30