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内容説明
実力派・山本おさむ氏が太宰治の短編を、渾身の筆致で漫画化!
おとぎ話を男女関係になぞらえて解釈した『カチカチ山(お伽草子より)』、老婦人が、若くして亡くなった妹との不思議な思い出を語る『葉桜と魔笛』、師・井伏鱒二に紹介された女性と結婚するまでの前後を綴った『富嶽百景』、太宰が故郷・青森を巡り、幼少の自分に強い影響を与えたある女性との再会までを描く『津軽』…
以上4作品が時代を超えた夢のコラボでよみがえります!
山本氏自身による作品解説も収録し、原作と併せて読み比べれば、より、太宰治への理解が深まること請け合いです!
太宰ファンも、太宰作品を読まれたことがない方も是非ご一読ください!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
菊地姫奈そっくりおじさん・寺
77
まずお札の肖像にしたい様なこの表紙に惹かれた。『どんぐりの家』の作家による太宰小説の漫画化。太宰の大ファンだそうだ。内容は『カチカチ山』『葉桜と魔笛』『富岳百景』『津軽』。コミカルなのは『カチカチ山』(残酷な話だが)くらいで、他の作品は感動させられる。『葉桜と魔笛』なんて本当に素晴らしい。短篇である『富岳百景』が前後篇にしてあり、細かい部分迄キチンと描いてある。最後の『津軽』は風土記の部分はカットして、太宰の旅だけを描いたものだが、やはり最後の越野たけとの再会はたまらないものがある。原文を尊重しているのも2012/02/08
かっぱ
5
「太宰の作品を漫画で」という企画、とても、良かった。「葉桜と魔笛」は感動的に仕上がっていてよい。「カチカチ山」は漫画家の創意工夫があり、上手くコラボが成り立っていて、いい作品になっている。2011/08/21
ぐうぐう
5
このコラボは思い付かなかったけれど、よくよく考えれば、こんなに相性の合うコラボもないのではないかと思えてくる。人として、きっと不器用だっただろう太宰は、しかし小説家としては、とても周到で巧みで、うまい人なのだ。山本おさむも、生きた方は下手そうだけど、そんな彼の描く漫画はとてもうまい。つまり、二人は似てるのだ。戦時下の空襲のエピソードを盛り込んだ、冒頭収録の「カチカチ山」のアレンジからして素晴らしい! 続く「葉桜と魔笛」の感動! 二人のおさむが、世紀を超えて出会ったことで生まれた1冊に、ほろほろと酔う。2011/08/03
むっち
4
富士山には月見草がよく似合う。山本おさむには太宰治がよくにあう。ビッグコミックだったかで津軽のさわりを読んだがその前のつぶれた企画があったとは知りませんでした。山本さんが学生時代から全集をもっていたそうで、作家の作家への思いレが伝わって楽しめました。太宰の男女平等というのを電子書籍で最近読んでつくづく思うが、太宰が女性に対して持っている恐怖や不安や、愛おしさの感情が幼児期に由来するのでしょうね。漫画にすると不思議に女々しい(女性に失礼?)雰囲気があまり感じられないのもまた不思議。やはり山本おさむさんの描い2012/10/06
ばー
3
太宰治は作家としても人間としても扱うのが面倒な人だと思う。「道化」という仮面を被っているために、いかなる太宰もそこにはうそというか、違和感が生じる。その「道化」という仮面すらキャラにしてしまっており、扱いにくい。自分の初の作品集に『晩年』と名づける者とは如何ほどか。太宰は痛ましいまでの自意識とその才能に苦悩し、それはこの作品集に収められている『富嶽百景』で実を結び、解放される。初期作品から順繰りに『富嶽百景』まで読み進めると、涙が出るほど感動する。『津軽』等良作品が収められているのも良い。漫画化万歳。2011/08/15