内容説明
「現人神」「国家神道」――これらの言葉から、現代の日本人はどんなイメージを連想するだろうか。おそらく、狂信的な「天皇崇拝思想」と、それを支えた「国教制度」といったとこだろう。そして、この「日本国民を狂信的な戦争へと導いた思想と制度」は「明治政府が日本の近代化のために考え出した」などとされている。だが著者は、「そのような認識は思い込みに基づく幻想にすぎない」と喝破する。それは最近の実証的歴史研究の成果に照らしても明らかなのだが、これが意外と世間では知られておらず、歴史の専門家でさえ、少し分野が違っただけで知らない者が大多数なのだという。世間で知られていないことがそれほど大きな意味を持たないなら、それでもかまわないのかもしれないが、この「幻想」はわが国の首相の靖国神社参拝問題や政教関係訴訟、さらには教科書問題や外交関係にまで影を落としている。“虚像”が誰によって、いかにして創られたかを検証する。
感想・レビュー
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kenitirokikuti
7
図書館にて。2003年2月にPHPから刊行▲簡単にまとめると、半分くらいは宮沢俊義が悪かったって感じ。戦後の政教関係をめぐる違憲訴訟の類いでは神道指令そのまんまの主張がくり返されているのだが、あれは終戦間際の極端な状態を前提にした処置であって、帝国憲法や教育勅語は狂信的ファシズムを目的としたものではないのである▲「人間宣言」について。公式に「神国」など述べられたのは戦争後期であり、戦死上等の陸軍教育側の考えてあった。天皇支配の正統性は神武創業で足り、神孫であればよく、現人神は必要ではない2024/08/05
Haruki Yoshida
1
「近代神道史」の敎科書2012/07/30