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内容説明
中国共産党総書記になって間もなく、習近平はこう発言した。「このままでは党も国も亡びる」――。本書は、この発言の後、習近平が取り組んだ改革について解説する。
中国では、官僚が私利私欲をむさぼり、それが経済格差を助長し、それに対して庶民の不満が爆発寸前に達している。習近平が「党も国も亡びる」と言ったのは、この不満の爆発を恐れてのものだった。
そして、この危機を脱するために習近平が行ったのが「虎も蠅も処罰する!」の宣告であり、それを実行にうつしたのが「贅沢禁止令」であり、「周永康事件」だった。
習近平の改革により中国では1日に500人もの官僚や役人(蠅)が処分され、中国共産党のトップの一人であった周永康も逮捕された。庶民はこれに快哉を叫んだが、それでもまだ、中国社会は浄化されていない。今では居眠りをする役人を見つけると、すぐに「腐敗だ」と通報するような監視社会になっている。また、将来に希望を持てない庶民が社会への「報復」として飛行機や長距離バスへの爆破予告が頻発するなど異常事態に陥っている。
こうしたなか、習近平はいかに改革を推し進めるべきなのか。転換期に差し掛かった中国に起きている現実、そして習近平の対応策を、現地取材をもとに描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
55
習近平政権の中国における反腐敗キャンペーンについて。私腹を肥やす官僚や軍部に対する贅沢禁止令や処罰、政府の大物3名による汚職事件、「格差社会」と「報復社会」について等が書かれていた。反腐敗キャンペーンと唱えるも習近平自身もパナマ文書の公開でアタフタしたことは記憶に新しい。それにしても中国という国は大きいだけでなく深くて底なし闇の国だなあ。図書館本。2016/12/01
ケイ
1
習近平の徹底ぶりがよく分かった。さすがチャイナウォッチャーだけあって、非常に鋭い分析が成されている。実感に伴った文章には説得力がありました。2016/01/22
くましろう
0
冨坂氏のレポートは読みやすく、落ち着いた内容なのでいつも勉強になります。習近平の違う一面と、中国国内の独特の政情がコンパクトに整理されていて読みやすかったです。2017/11/03
hechima1106
0
NC2019/03/18