内容説明
今度は私があなたたちの“言葉”をおぼえる
荒井尚人は生活のため手話通訳士に。あるろう者の法廷通訳を引き受け、過去の事件に対峙することに。感動の社会派ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
521
「ワンダフル・ライフ」で感銘を受けて同じ作家の本を読んでみた。毛色の変わったリーガル物かと勝手に思い込んで読み始めたが全然違った。この息苦しさは何だ。ろう者、コーダ、遺伝、手話。全てが息苦しい。正直言って俺は関わりたくない。話のオチも途中で読めてしまうし、何の驚きも感動もなく、ふうん。で終わってしまった。そんな物語自体ははっきり言ってどうでも良かったのだが、衝撃を受けたのは滅多に読まない「あとがき」だった。著者の妻は頸椎損傷の障害者だという…つまり「ワンダフル・ライフ」は著者自身の話でもあったのだ。2025/08/11
hit4papa
398
手話通訳士となった元警察事務方が主役のミステリ作品です。本作品を読んで、「ろう者」に対する「聴者」、「コーダ」などの用語の意味や、聴覚にハンディキャップを持っている方々の文化的な側面への理解が、非常に少ないことを認識しました。ミステリとしては、詰め込みすぎの感は否めないものの、混乱することなく読み進められる良書です。所々、ろう者が受ける差別的なシーンがありますが、著者は、ネガティブな部分にだけにスポットを当てていないので、好感が持てるでしょう。道に迷い続けた主人公の、これらを指し示すラストも良しです。2020/06/02
venturingbeyond
382
傑作。ミステリーであり、当然、主人公の前に生じる謎が明らかになり、張られた伏線がしっかり回収され、最後に事件とその背景の全貌が明らかになるカタルシスはしっかりありながら、同時にろう者の置かれた社会的状況、現時点での手話言語の社会的評価とその正当な言語的地位確立の必要性、ろう者の家族の中にある聴者の置かれた複雑な境遇など、健常者側の一般的な障害認識に揺さぶりをかける重要な視点を、ストーリーを追う中で読者に投げかけ、読み終えると確かに自身の認識が更新されている。2022/12/26
yoshida
365
読メで存在を知り読了した作品。手話通訳士である荒井を通じて聴覚障害の世界を知る事が出来る。ろう者と聾唖者の違い、聴覚障害の家庭に産まれるコーダと呼ばれる健常者、法廷通訳の存在、さらにはろう者や手話の教育の歴史等。私はあまりにも無知だ。ミステリーの形式をとりながら、この作品は私に沢山の知識を与えてくれた。勿論、これは世界の入口に過ぎず、この先には更に未知の領域がある。しかし、この作品は形はどうあれ家族の在りかたの大切さ、様々な世界に興味を持つことの大切さを教えてくれる。感動まで与えてくれるこの作品は本物だ。2016/10/10
文庫フリーク@灯れ松明の火
360
8月4日発売・文春文庫新刊。このレビューをご覧頂いたあなたが、書店で直接本書を手にされること、切に願います。裏表紙側の帯には【読書メーターでブレイク!】の文字。そして読メ単行本レビューより、3名の方の感想の一節。以下、著者文庫版あとがきより抜粋「刊行から4年近くが経った2015年の年頭から【読書メーター】という読書履歴管理サイトでなぜか突然評判になり、一時は並み居る著名作家の新刊書に混じって「読みたい本ランキング・単行本」枠でベストテンに食い込みさえした。(中略)何より嬉しかったのは、初めて当事者以外→続2015/08/05
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