内容説明
1840年代後半、ワイトリング、ヘスなどとの相互批判のなかにいた一人勝ち以前の若きマルクス。等身大の姿から思想の本体と可能性を探る。良知思想史を代表する一冊。解説=植村邦彦
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
12
1971年初出。「民衆の苦しみのなかから生まれ、そしてまた民衆の心に立ちかえる革命的情熱」(17頁)。「われわれは自由でありたい。地上のすべての人間がわれわれ同様に自由に生き、だれもが他人と同じように配慮され、全体の負担や労苦、喜びや享受をだれもがわかちあい、こうして共同体のなかで生きてほしいのだ」(51頁)。理想は自由。われわれをとおして遂行されるならば、自由(73頁)。主体性、当事者性が自由の礎。資本主義のもとでは、だれもが自由ではない(75頁)。シャッパーは民衆教育なくして非人間的頽廃(149頁)。2013/11/05
キュアレフトの本棚
2
ライブラリーではなく単行本で読破。よくオーウェンやフーリエなど空想社会主義からマルエンへの科学的社会主義の飛躍みたいな流れだがそうではなくマルクスへ至るまでにはワイトリング、ヘスなどの社会主義者たちがいた。決して彼の業績も忘れてはならない。特にワイトリングは労働者出身というので個人的にはお気に入り2022/05/18
たらら
1
1848年革命前、ワイトリング、シャッパー、ヘスらマルクス周辺にいた人々を中心に描く運動前史。たしかにいきなりマルクスを読み始めたら理解できない「文脈」がここにある。マルクスを聖典の地位から歴史研究の対象とするための序にすぎないとする良知の立場の明快さと清々しさに胸打たれるが、それは置いてもこの前史は魅力的。プルードンとの訣別、真正社会主義者との路線対立(と認識の対立)、スパイの暗躍、世界同時革命という夢がいかにして展開されていったかという系譜、一つ一つのエピソードにドラマがある。名著。2010/06/18
Mt. G
0
マルクスを社会主義運動史を織りなす群像の一人として描きだす、その作業は、「過去において権力的に埋葬された諸思想をふたたび「救い出す」こと」(p303)である。“マルクスを再読する”試みの嚆矢。2015/11/05
せみ
0
ヴァイトリングはあまり知らなかったのでその下りは勉強になって面白かったです。(必然=自由でない)自由というものを一番重視していたように思います。2011/05/18
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