内容説明
若き廣松vs.若きマルクス。幼少期、学生時代を経て共産主義運動に参画するマルクスの思想形成を辿り、物象化論への展開直前、『経済学・哲学手稿』の思考を精緻に解読。解説=小林昌人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
R
1
マルクスについてちょっとずつ勉強していく。2012/01/23
Daimon
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物象化論を顕揚した廣松がここまで青年期のマルクスにしぼり、滔々と論じたこと、その内奥にこそ核心があるような気がしている。2017/02/21
Mt. G
0
非常に共感したのが、『経済学・哲学草稿』における「私的所有と疎外」をめぐるアポリアを論じた箇所。つまり、疎外された労働との関係において、「私的所有」は原因でもあり、結果でもある、というトートロジーをなしているのだ。「いまや前提条件に押し上げられた「私有財産[私的所有]」なるものが、いったいどのようにして成立し存立するのかということ、この大問題そのものは依然として残る」。『ドイツ・イデオロギー』における「分業と私的所有」を参照しつつ、さらに探求したい。2015/11/04
世人
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「マルクス主義」を確立する前のマルクス、エンゲルスと出会う前の青年マルクスを描いた本。「マルクス主義の原型」を青年マルクスに見ようとすると肩透かしを食らうが、情熱をもって国民経済学やヘーゲル哲学と格闘する、後の思想的発展の土台となる等身大の彼の姿を見ることができる。2023/06/11