内容説明
驚異的技術と凄まじい職業意識を持つ怪人たち、伊賀忍者はいかにしてつくられどのように生きたか。城取り、後方撹乱、探索密偵等、戦国の武器として使いちらされた危険な傭兵、詐略と非情の上に成り立つ苛酷な働きが、歴史の動きに影響を与えた不思議な人間たちを、自在に描く短編等、魅力溢れる7編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
78
司馬遼太郎が長沢蘆雪を書いた小説があるというのを知り、その「蘆雪を殺す」が収録されている本書を読んだ。そのエキセントリックな性格から、様々な逸話があり、毒殺されたという話まである。蘆雪の破天荒な画業と師である円山応挙との関係等を生々と描いている。蕪村の弟子である呉春を描いた「天明の絵師」も面白い。表題作の「最後の伊賀者」を始めとした忍者ものも数編収録されていて、そちらは白土三平の漫画を読んでいるような気分になった。2023/12/27
キムチ27@シンプル
59
車中で読むのに肩が凝らない。伊賀もの以外7編入っておりいずれも味があり、手軽に楽しめた。時代小説の醍醐味はがんじがらめ組織、鬱屈した時代背景、そして個人の考えの飛翔しつらいところ・・それを現代人の目で見た際の受け止め方。忍者の世界は命を預けた雇用関係だけに血しぶきを感じる。今でも山城や鬱蒼とした林の中の天守閣、山道を見ると走っている忍者を感じてしまう。江戸芸術が好きなので「天明の絵師」や芦雪ものが面白かった。2017/07/24
たつや
52
7篇の忍者の短編集。武士達は寒い冬に戦を避ける。そのシーズンオフに活躍するのが忍者。子供の頃の忍者修業。忍者を放つ家康。どれもこれも面白かったです。「梟の城」や「風神の門」がまた、読みたくなりました。2016/11/20
Taka
49
司馬さんの短編集。一つ一つが深くて世界観に引き込まれる。司馬ワールド炸裂だな。2019/05/31
i-miya
48
2011.12.23 (再読) 司馬遼太郎著。 (カバー) 驚異的な技術と凄(すさ)まじい職業意識を持つ怪人たち。伊賀忍者はいかにしてつくられ、どのように生きたか。城取り、後方撹乱、探察密偵。戦国の武器としての伊賀忍者。危険な傭兵として使いちらされる。詐略と非情の上に成り立つ過酷な働きが歴史の動きに影響を与えた不思議な人間たち。 2011/12/23