内容説明
つめたい煉瓦の上に/蔦がのびる/夜の底に/時間が重くつもり/死者の爪がのびる(「死者の爪」)。死と対峙し、死を凝視し、怖れ、反撥し、闘い、絶望の只中で叫ぶ、不屈強靱な作家魂。醜く美しく混沌として、生を結晶させ一瞬に昇華させる。“最後の文士”と謳われた高見順が、食道癌の手術前後病床で記した絶唱63篇。野間文芸賞受賞作。
目次
死の淵より
「死の淵より」拾遺
「わが埋葬」以後
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
154
《つめたい煉瓦の上に/蔦がのびる/夜の底に/時間が重くつもり/死者の爪がのびる》…手術から退院までどんな時を過ごしたのだろう。病床や自身を「つめたい煉瓦・死者」と見たなら、のびる「蔦・爪」は苦痛と身体反応だろうか。退院後、《円空が仏像を刻んだように》詩を作り、時には詩をわめき散らしたいという。《おれの食道に/ガンをうえつけたやつは誰だ》《おれはおれと戦いながらもそのおれとして生きるほかはなかったのだ》《安らかにおまえは眼をつぶるがいい》と、自分と和解する。苦痛と思えたものも含め、詩を作る歓びに溢れていた。2020/09/19
金吾
27
◯死に向き合い、恐れ、戦い、悟り等の様々な感情を赤裸々に表現していると感じました。「帰る旅」「電車の窓の外は」「望まない」「黒板」「おれの食道に」「執着」「醜い生」は死に面しこのように気持ちを表せることに感動しました。2024/08/23
yamahiko
20
死を間近に感じているからこそ絞り出す言葉を軽みに昇華できるのであろうか。近しい者の死を間近で見つめている今だからなのかもしれないが、詩の持つ凄みに触れることができた気がした。2019/09/17
冬見
19
冒頭の数編が凄まじく、ぎょっとした。一気に引き込まれ、気付いたら読みきっていた。この凄まじさは何なのだろう。薄暗く、混沌とした世界へ落ちてゆく。知らないはずのここを、私は、ずっと前から知っていたような気がした。2017/11/12
はっちー
17
食道癌となった彼、高見順の死に対しての叫びがありのまま詩となって書かれている。自らの死に直面した際人間はこうも変わり果ててしまうのだと思わされた。一番最後のヒトデの詩が一番のお気に入り。2014/11/21
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