内容説明
美しい黒髪の妻を自動車事故で亡くした後、再婚したフランス女性も事故で失った画家。彼は奇妙な方法で妻たちを偲び……「二人の妻を愛した男」。妻は“一年に一晩だけ自由にさせて”といった。夫はその願いを長く叶えてきた。だが、妻の秘密を知りたくなり……「女系家族」。女性遍歴の末、愛した女に棄てられた旧友には、驚愕の素顔が……「紅の女」。男女の日常に潜む不可思議をミステリアスに描く傑作短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gonta19
117
購入詳細不明。 2024/7/27〜7/29 阿刀田さんらしい、一捻り効いた短編が12作品。阿刀田作品とは「ナポレオン狂」をリアルタイムで読んで以来だけど、いわゆる阿刀田作品的な作品を書く作家さんは阿刀田さん以降いないのではないか。One & Onlyな作家さんだと思う。2024/07/29
優希
68
日常に潜む恐怖が影のようにまとわりつく短編集でした。今の時代に生きる男女の人生と日常の断面を鮮やかに切り取っていると思います。どの作品にも奇妙で深い味わいを感じました。人間心理の描き方が絶妙なのでしょう。キレはあまり感じられないものの、その分熟成した味を味わえました。2015/07/14
KAZOO
58
阿刀田さんの比較的最近の作品集で、12編の短編が収められています。さすがに昔ほどの切れはなくなりましたが、私のような年寄りにはちょうどいいと感じられます。日常生活している人間の心理をうまく表現していく手法は健在であると思います。2015/07/04
優希
38
再読です。男女の日常に潜む不可思議をミステリアスに描き出していました。「ほんの少しの不思議」がテーマと言っても良いでしょう。奇妙な深い味わいで描き出す微妙な心理にハマります。男女の絶妙な描き方が良いですね。2024/04/25
takaC
31
良くも悪くもとても阿刀田高的な12篇。彼の小説を以前ほどには楽しめない今の自分。2012/06/19