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内容説明
「本書はいつか通らなければならない道をあえて今、歩いてみようという試みをするものである」。戦後70年を経るなかで、これまで日本では数々の「戦争責任」が語られてきた。だが、そこで絶対的なタブーとして誰もが目を背けてきたテーマがある。それが、原爆投下の正当性に疑問を投げかける「アメリカの戦争責任」だ。そして、少しでもその問題に触れようとした人たちは、社会的に抹殺されてきた。しかし、その問題を直視することなくして、戦後の本質と真の平和を語ることはできない、と竹田氏は言う。なぜ、日米ともに原爆投下の正当性を疑うことは、タブーとされているのか。アメリカの教科書は原爆について、いかにそれを正当化し、子供たちに伝えているのか。そうした現状を踏まえながら著者は歴史を遡り、トルーマン大統領の目的が「原爆投下で日本を降伏させる」から「原爆投下まで日本を降伏させない」にすり替わった恐るべき史実を描き出していく。「ポツダム宣言」に仕掛けられた「日本が絶対に降伏できないような工作」とは、何だったのか。原爆を落とすのが先か、それともソ連参戦が先か……。終戦直前のドラマを知れば知るほど「原爆を落とすことで早く戦争を終わらせる」という「早期終戦・人命節約論」が、欺瞞に満ちたものかがわかるだろう。そうした「原爆神話」から目覚め、両国が先の大戦を反省してこそ、真の日米友好が築けるはず。気鋭の作家が自らの身を顧みることなく、戦後最大のタブーに挑んだ問題作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そうたそ
58
★★★★☆ 第二次世界大戦について何かと語られることの多い日本の戦争責任。しかし終戦の契機となった原爆投下を実行し、多数の死者を出したアメリカの戦争責任については言及されることがない。戦後70年を迎えた今、今一度アメリカの戦争責任について考え直す一冊。とにかく情報量がぎっしりで、おいていかれないようじっくりと読んだ。日本人自身が原爆投下を降伏を決定づけたものと思ってしまっているのが現状であるが、本書においてその原爆投下に至るまでの経緯を目にする限り、極めて強かなアメリカの姿が浮かび上がってきた。2015/12/27
ロア
51
時に息を飲み、時に涙が止まらず、こんなにも感情を揺さぶられるとは‼きっとみんな薄々気付いてるけど、見ないふりして蓋をしていたアノコトについて、明確に理路整然と冷静に書かれています。一人でも多くの人に読んでもらいたい‼2015/10/25
すしな
44
075-24.原爆投下から終戦までのこの時期、多くのメディアでは戦争の悲惨さと戦争責任を問う番組を放送しますが、戦後80年経った今でも、あの戦争が歴史的にどういう意味があったのか?というのはあまり語られていないのが現状だと思います。ただ日本の立場としては唯一の被爆国という事実は紛れもないことですし、万が一、現代で同じことをした国があったら、どんな理由があっても非武装の市民を虐殺したことで確実に戦争犯罪になるわけですから、そこを踏まえて歴史を検証して行くというのはとても大事なことだと思いました。2024/08/11
とくけんちょ
40
アメリカの原爆投下は許されるべきなのか。敗戦国は、すべてを受け入れることを求められるのだろうか。難しい。市民の虐殺は許されるべきではない。しかし、あれだけの敗戦の後に、今の国体を維持できていることが奇跡のような気もする。アメリカべったり、それも敗戦国であるがゆえ。もうすぐ戦後、80年を迎える。もう独り立ち、リスクは伴うが当たり前の独り立ちをすべきではなかろうか。2023/11/26
り こ む ん
40
特に新たな事は知り得なかったのだけど…強く言い出せない敗戦国の弱味…なんと言うか…まざまざと感じる。負けた国は発言力がなく…いくら訴えても…敗戦=悪であり、訴える前に、諸君のヤったことは○○だ!と被せるように罪を連なれカキ消されてゆく…日本がヤったことは正当化しようとも思わない…それなりに、突き進んでしまう理由があったにせよ…どこかで立ち止まり、どこかで見定める機会は何度も何度もあった。それでもやめなかった責任は重い。日本はそれを認めながら、世界に原爆の恐ろしさと被害の甚大さを訴え続けなければならない。2016/08/26