内容説明
病院のベッドで科学者ジョー・コリガンは記憶を失い目を覚ます。もはや以前の自分ではない。かつて、オズ計画と呼ばれた極秘プロジェクトの立案者として、現実世界に限りなく近いヴァーチャル・リアリティの開発に従事してきた。そのテスト段階で自ら被験者となり、仮想世界と神経接合する。記憶はそこで途絶えた。計画はずっと昔に放棄されたと聞かされ、妻は去り、ひとり馴染みのない環境に置かれている。そこへある女が現れて言う。二人とも、いまだシミュレーション内に取り残されたままだ、と。現実と境目のない虚構世界のなかで、罠に囚われた科学者に脱出の道は? リアルすぎる仮想空間を描く、本格ハードSF!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
48
IT技術の進化により、話題になるバーチャルリアリティ(VR)だけど、自分が十代の頃、第一次的流行があったと思う。CGも今と比べればお粗末だし、映画(結局エロ目的)もあった。その頃の作品(?)だからか、今進行している物語がダミーと疑ってかかったゆえに、搦め手のキモとなるオチにイマイチ楽しめず、仮想世界のリピートが主人公同様、不毛な人生を繰り返されるような感じがした。この手の作品のテーマは「現実を生きよ」なのだが、仏教だとその現実すら虚構、空となってしまうので、お釈迦さんに勝てる小説が読みたい。2019/02/07
SINKEN
10
【総評】★★★☆☆【感想】ちょっと難しかったかな。ただ、非常にホーガンらしさ溢れた作品だった。邦題の通り、仮想現実(VR)世界の構築に主眼を置いたストーリーだけど、執筆時点(1995年)で既にビッグデータを利用したAIの育成など、現在の主流な理論を展開しているところが流石です。究極の仮想空間は現実世界を併呑できるのか否か非常に興味深いテーマで、今いる世界はひょっとしたらVR内なんじゃないかとか考えると少しドキドキします。2018/12/30
roughfractus02
10
VRの時間は現実の時間と同じではない。作者は、夢の時間感覚をVR世界に導入し、VR内の12年が現実では3週間の経過でしかないというギャップを物語世界に与える。一方、この世界がVRだと気づくのは、AIの予測を越えた挙動による偶然によってであり、気づいた者がVR内でテロを起こし、この計画を作る企業が動くのを待たなくてはならない。本書は、VR内での精神の成熟と現実の肉体の若さを具え、脱出プログラムを探し出す主人公が幸福な結末に向かう物語を提供する一方で、読者の「自我」もまた世界の複数性を前提とする点を示唆する。2018/09/20
Masa
10
読了。いやぁ、すごかったぞこれ! なんでこんな良い物語が絶版? 在庫切れ? になってたんだ。まったくもって信じられない。まさにいまの時代に読まれるべきSF。「物語」自体が他人の人生を追体験する仮想空間だとすれば、本書では仮想空間の中の仮想空間に迷い込む。非常に深いところに落ちていった印象。いやぁ、すごいぞこれ! すごいぞホーガン! エンタテイメントとしても非常に良く出来ていて、大満足の1冊になりました。2017/10/04
ビター
6
真面目なハードSFは久しぶりだが思った以上に楽しめた。主人公の心境の変化による行動の変化からAIの行動原理が改まって現実よりも理想的な世界になっていったのには笑った。その後いろいろぶち壊しになるのにも。あとアイルランドジョーク。そりゃ良かったねってコリガン自身も言われてんじゃんww 「情報は聞き手の中にあるんだ、語り手ではなく」2014/06/26
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