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内容説明
あの司馬遼太郎がその存在を知らず、一読して『福翁自伝』にひけをとらぬ内容、と驚嘆した自伝がある。1925年(大正15年)、アメリカで無名の日本人女性が英語で書き下ろした『武士の娘』が刊行され、その年のベストセラー・リストに載った。『グレート・ギャツビー』と並ぶ売れ行きで、異例の8万部が世に出た。その著者である杉本鉞子の数奇な生涯を描くノンフィクション。
目次
まえがき
序 章 エツ・イナガキ・スギモト
第一章 幕末維新に翻弄される父と娘
第二章 戊辰戦争と明治の稲垣家
第三章 婚約、そして東京へ
第四章 空白の五年間
第五章 アメリカへの旅立ち
第六章 フローレンス・ウイルソン
第七章 帰国
第八章 賞賛された「不屈の精神」
第九章 協力者の死と戦争への道
第十章 鉞子が遺したこと
終 章 黒船(The Black Ships)
あとがき
文庫版あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
35
NHKプロデューサー著。100年程前アメリカで8万部を売るベストセラーとなった「武士の娘」の時代背景と杉本鉞子(エツコ)の人物像を解説したモノ。父は司馬遼太郎「峠」の主人公、河井継之助と対立した長岡藩家老。縁があり渡米し米国人女性と交友を結ぶ。その縁から自叙伝的作品を書き社会で評価された。番組も「武士の娘」も「峠」も見ていないが戊辰戦争の背景、樋口一葉から少なからず影響を受けていること、一次世界大戦後の人心など少ない資料から掘り起こした貴重な資料。上記2作は是非読みたい。2018/10/11
isao_key
12
すばらしい評伝を久しぶりに読んだ。『武士の娘』著者杉本鉞子の生涯と、鉞子と家族を陰で支えたフローレンス・ウィルソンとの友情を描く。資料が少ない中で、よくここまで調べた。フローレンスは、鉞子の夫松雄がシカゴの病院で急性盲腸炎で急死した際、臨終に立ち会い「家族をよろしくおねがいします」といわれ「はい、お引き受けします」と約束する。ある人からその徳を称えられると「東洋には『一諾を重んず』という言葉があると聞いています。アメリカにもその心はあります」と微笑んだ。出会いから亡くなるまでの美しい友情に胸が熱くなる。2017/08/19
ヒトコ
7
文庫版あとがきにもあったNHKBSの番組を見て「武士の娘」とその著者を知った。幕末の越後長岡で、非戦派としてあの河井継之助と対立し苦労した家老が、その著者の父だった。明治初年に生まれ、結婚と娘達の教育の為10年以上をアメリカで暮らし、太平洋戦争後の昭和25年まで激動の時代を生き、「武士の娘」を始め英文の著作を残した女性の生涯を、よく調べて書いている。2016/02/23
よっちゃん
4
古書店で表紙書名を見て即購入。武士の娘そのものではなく作者を主眼においた書物。いずれ早いうちに武士の娘そのものを読みたい。良書お薦め2021/03/10
銀蔵
4
歴史が正しく語られさえすれば、つくり話の小説などなんの役にもたたなくなる。2017/11/30