内容説明
旧約聖書はユダヤ教・キリスト教の正典であり、また、その宗教的権威を離れても広く人類の文化のなかで大きな影響を与えてきた。しかし、その中身はそれぞれが矛盾し錯綜したテキストの集合であり、多くの現代人にとっては通読することすら困難だというのが現実だろう。本書は、旧約聖書をその歴史的状況の中に置き直し、「創世紀」「出エジプト記」「ヨブ記」「雅歌」…等々の文書が成立した時代とそれらが背負っていた思想的課題からの解読を試みる。各文書の個性から、なぜ旧約聖書というまとまりのある書物が成立し権威を持ったのかまで、イチからよくわかる旧約入門の決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
岡本 正行
24
わかりやすくて、いい本だった。まるで世界史の教科書って感じ。本物の旧約聖書、毎日でも、少しづつ読んでみよう。別にキリスト教やユダヤ教を信仰するわけではない。いまの日本は、欧米文化に浸りきっている。どんなに反米とか言っても、いまの私たちは、アメリカを中心とする白人文化を崇敬している。ウクライナも白人系、アジア系、アフリカ系、いろいろあるが、やはり美醜の感覚すら、洗脳されている。世界的に融合しつつあるのはいい。もっともっと、黒人でも、その基準が変わりつつある。どっちがどっちかわかならいけど。中国、韓国も。2022/04/19
みのくま
11
旧約聖書は長い年月をかけて編纂された巨大博物館である。段階的に作成されたヤーヴェ資料、エロヒム資料、申命記資料、祭司資料を混ぜ合わせて構成されており、内容的には重複、矛盾も多く残されている。なかでも因果応報的な御利益神か介入不可能な超越神か、イスラエル民族主義かコスモポリタンな普遍主義かなどといった根本的な所にも矛盾が多くある。また歴史著述もだいぶ怪しい。編纂当時の時代背景に合わせて歴史を改竄したと思われる箇所が随所に散見される。だが、この欺瞞だらけの書をどのように人々は受容したか、が一番重要な問題である2019/12/14
クラムボン
5
この本を読むと、旧約聖書は一見するとお互いに整合しない文書が入っているようだ。著者はそれらの矛盾をユダヤ人の歴史を辿りながら解説しています。入門書だそうだが、それは聖書を学究的に学ぼうとする者達が対象のようである。…であるので私には手に余る内容でありました。2021/02/27
刳森伸一
4
旧約聖書の入門書だが、600頁ほどもあるのでかなり重厚感がある。旧約聖書を創世記から順に説明するのではなく、ユダヤ人の歴史を追いつつ旧約聖書がどのように形成されたかを説明するスタイル。やや乱雑な印象も受けるが、個人的には目から鱗が落ちるような記述も多く、為になった。2015/09/22
irai
3
旧約聖書の入門書.旧約聖書を構成する各文書を,成立時の歴史的事情と照らし合わせながら説明する.聖書的な教養が一切ない人間にとっては,ありがたい本.著者の聖書テクストに対する態度は「すべての確定した形をもったものは,神の言葉の記録であっても歴史的であって相対的である」(p. 225)という記述に表れていると思う.著者は聖書を開かれた書物として現在において読んでいると思う.2014/08/23
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