内容説明
豊かな国風文化を育んだ平安時代、その担い手だった宮廷の人びとはいったいどんな生活をしていたのか。本書は、『源氏物語』や『枕草子』などの文学作品をはじめ、さまざまな古記録を博捜し、当時の行事や日常を復元する。後宮の制度や宮仕えの動機から、住宅事情、食事と食べ物の種類、結婚と風習、懐妊と出産、美意識やその表現、美人の条件や教養、はては誤楽、疾病、医療、葬送、信仰などにいたるまで明らかにした、平安時代の女性生活百科の名著。国文学専攻の教師や学生はもとより、広く古典文学愛好家必携の書。通読するだけでも、当時の生活が澎湃として眼前に立ち現れる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
彩菜
28
平安女性の生活に関する概説書といった趣でしょうか。住居、行事、服飾、化粧法…項目毎の解説には源氏や栄花、様々な文献からの引用が具体的イメージを補い楽しいです。加えて著者は折に触れ衣装や香、室礼などの色や形、感覚的なものの背後に女性達の精神性が隠れていると指摘する事も忘れません。几帳や御厨子を背景に季節に叶った重袿、香と扇に隠れる女達、その美しさはこれらの調和に心を尽くす彼女達の精神活動と形との調和の上にあり、見えないその横顔を私達は生活環境から思い描く事が出来るのです。その為の知識が詰まった本ですよ!2024/04/01
まこ
10
平安時代の人々、特に女性はどんな暮らしをしていたのか。当時を代表する文学作品からの描写を参考にしながら紹介していきます。2020/10/03
ヒロミ
6
こまごまと平安朝の女性文化について丁寧に書かれた本で面白いです。男性にもスポットを当ててほしかった…。池田博士が少女小説も執筆していたと解説で知り、驚いた。偉大なる元祖オトメンですね。2013/10/08
詠月
6
1952年に刊行されたロングセラーの、2度目の復刊。「男子省略!」ってのが特徴です。平安文化は後宮にてはぐくまれたので、後宮女性に関係のない年中行事も省略されている。これは平安朝の女性についての本です。 出産育児の項目には男児がちょと出てくるけど女児がメイン(笑)女性の一生を取り巻く様々な事柄を説明する際の引用文が適切で、場をイメージしやすい上に構成もすばらしいので引き込まれます。平安女性の魅力を細やかに感じられるのが良いです。2013/05/17
猫
5
平安時代の生活・習慣・文化などを、女性を中心に細かく分類分けて解説されている。さまざまな平安文学がたくさん参照に取り上げられているけど、現代語訳ほぼなしなスパルタぶりに、自分の不勉強を痛感させられます…。それでもこの時代の雰囲気は十分感じられると思う。男性に関する記述はいっそ気持ちいいくらい切り捨てられているのが惜しい。2015/07/05