ちくま学芸文庫<br> 相対主義の極北

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ちくま学芸文庫
相対主義の極北

  • 著者名:入不二基義【著】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 筑摩書房(2015/08発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480091956

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内容説明

すべては相対的で、唯一絶対の真理や正しさはない――この相対主義の「論理」を相対主義自身にも適用し、極限まで追いかける。その最果ての地で、どのような風景が目撃されるのか? 本書では、ルイス・キャロルのパラドクス、マクタガートによる時間の非実在性の証明、デイヴィドソンの概念枠批判、クオリア問題等を素材に、「相対化」の問題を哲学する。相対主義を純化し蒸発させることを通して、「私たち」の絶対性を浮き彫りにすると同時に、その「私たち」も到達しえない“他なるもの”の姿を鮮やかに描き出す。ダイナミックな哲学の思考運動が体感できる名著。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

koji

22
論理学の素養がない私には難解でした。まとめの言葉を借りれば、「相対主義と実在論は、極限において一致する。「私たち3」は、反復する「私たち」に一致し、極限的な「実在」は、「ないよりもっとないこと」に一致する。」が結論です。これだけではさっぱり分かりませんが、ここに至るまでのルイス・キャロルのパラドックス、クオリア、「枠組みの問題」等緻密な議論の展開は説得性があります。2010年代後半からの実在論ブーム、最近の相対主義の風潮を考えると著者の思考の先駆性を感じます。また一人、追いかける哲学者の名前が刻まれました2021/09/27

白義

16
相対主義、という考え方がある。それは…と細かく書かなくてもここではだいたいの人があらかじめ理解してるだろうからすっ飛ばすけど、相対主義にみんながケチを付ける問題点は、じゃあお前自身はどうなのよという話だ。ほとんどの人はそこでああ確かにと言って相対と絶対について考えるのをやめてしまうのだけど、この本はそこをさらに徹底した議論を展開している。そもそも相対主義のパラドックスって本当にパラドックスなの?著者はいきなりそこを緻密な論証で否定してしまう。そこからもう本書から手が放せなくなる2012/02/19

スパイク

10
難しかった。たぶん私の頭では理解できないことなのだろう。著者の狙いは裾野の広い相対主義を煮詰めて凝縮、純化し…蒸発させることだと書いてあった。化学かぶれの私にしてみれば、凝縮すれば、不純物も析出してくるし、蒸発するのは純化したい”物”(真理?)ではなく、その”物”を溶解している溶剤のほうだと思うので、極北にあったもの(理想)はろ過されたり、蒸留されたりせず『煮詰まった』”何ものか”でしたなかった。簡単にいうとだからどうなの?何が言いたいの?でした。でも、ついていけてる始めのうちは知的好奇心を擽られました。2014/08/28

ヒダン

8
相対主義の自己適用の徹底の極限と実在論のハードな方向への極限が一致することを証明する本。遠くの目標に向かって一歩ずつ進んでいくのが分かって、読んでいて充実を感じた。難しいトピックを扱っているのに議論は非常に分かりやすい。しかし、解説の野矢さんの言うように、分かりやすいけれどもよく分からなくて、これはどういうことなのだろうかと考えたくなる。哲学関連でこれほど快適な本は珍しいと思う。著者の他の本も読んでみたくなった。2013/10/30

rinichiro

5
誠実に丁寧に書かれているので、読みやすく、解りやすく、この種の本としては比較的スラスラと読めた。でもなんとなく解ったつもりになっているだけという気もする。整理しながらもう一度ちゃんと読みたい2009/07/07

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