内容説明
次から次へと殺人を犯し、ニューヨークを震撼させた連続絞殺魔〈猫〉事件。すでに五人の犠牲者が出ているにもかかわらず、その正体は依然としてつかめずにいた。指紋も動機もなく、目撃者も容疑者もまったくいない。〈猫〉が風のように町を通りすぎた後に残るものはただ二つ――死体とその首に巻きついたタッサーシルクの紐だけだった。過去の呪縛に苦しみながらも、エラリイと〈猫〉の頭脳戦が展開される! 待望の新訳版
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
254
劇場型犯罪ミーツ名探偵。クイーン探偵としてはあまり良いところがないが、物語としては大成功。ただ、なぜ『十日間の不思議』を飛ばして新訳出したのか、配慮が欲しかった。本格ミステリではなく一級のサスペンスとしてカテゴライズしているレビューが多く、実際その通りだが、本格ファンのツボをおさえた構成になっていて流石。よくいわれる後期クイーン問題、『十日間~』から『九尾~』と読み進めると、作者はそこまで深刻に捉えていなかったのでは。苦悩も復活も割合あっさりしたもの。日本でだけ騒ぎすぎか、はたまた新訳の読みやすさ故か。2016/08/04
tonnura007
117
NYに連続殺人鬼”猫”が出没。エラリーは否応なしに事件解決に引き連れられるが、その間にも被害者は増え続ける。 再読。新訳版では初読み。被害者のミッシングリンクとそこに至る過程があまりに鮮やか。「なぜ男性被害者には既婚者と未婚者がいるのに女性被害者は未婚者だけなのか」は本当に優れた着眼点だし、被害者の年齢がどんどん下がっていく理由と途中で年齢が大きく開く理由も面白い。 また猫一匹に恐慌状態に陥るNY市民の群集心理の描写も鮮やか。国名シリーズやレーン四部作とはテイストが違い、著者たちの幅の広さが伺える名作。2024/12/11
ゆかーん
75
エラリイ・クイーン氏の王道ミステリー。9人の連続殺人事件に秘められた謎を、著者エラリイが探偵となって解き明かす推理小説。50年以上昔の名作に関わらず、21世紀の現代でも夢中になってしまう素晴らしい作品。他のミステリーが物足りなく感じてしまうほど、ワクワクドキドキの連続です。犯人が最後の最後まで分からないため、残り数ページまで楽しめました。また、越前敏弥さんの訳が素晴らしく、要所要所でストーリーを盛り立ててくれます!『災厄の町』も発売されているようなので、そちらも是非読んでみようと思います。2016/10/02
つねじろう
69
アガサクリスティの次に嵌ったエラリィクィーン。大概読んでたつもりだったけど漏れてたこの猫。新訳になって装丁の猫と目があって購入。う〜ん懐かしいエラリィ・クィーン。そうかぁこれは「十日間の不思議」の後なんだ。クィーンの凹んでる時期ね。でも彼はキャラ的に颯爽としつつも案外打たれ弱い部分は内在してたからこんなもんかなぁって。ドルリィ・レーンにも通じる所もある。特に後半は横溝正史的と云うか金田一耕助的。全てやっちまったぜの後で謎解きと云うか解説が始まる。出し惜しみするなよ〜と言うよね普通。でも中々のお話しでした。2015/09/03
キムチ
52
高校時代よく読んでいた(といっても、ポピュラーな国名シリーズだけ)筆者作品の中でかなりの評価・・ということで読んだのが私的に急務が絡んだ為気持ちにゆとり持てず、四苦八苦して読了。「クイーン探偵が父の警視との間ですったもんだし、内省的に懊悩で苦渋するところにかかる場面が多い」こともあり、ノー天気感想とは言いかねる。ミッシングリンク~群衆が大量殺人で繋がることに依る集団的恐怖がテーマのコア。殺人者「猫」の手口に『これって現実的に可能かな』と思わないでもないが。人間感情の怖さを改めて思い知った次第|д゚)2016/03/01
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