内容説明
【「憲法9条」や「国連」の理念は、この小さな本から生まれた】「戦争状態とは、武力によって正義を主張するという悲しむべき非常手段にすぎない」「常備軍はいずれ、いっさい廃止されるべきである」「永遠平和は空虚な理念ではなく、われわれに課せられた使命である」。1795年、71歳のカントは、永い哲学教師人生の最後に、『永遠平和のために』を出版した。有史以来、戦争をやめない人間が永遠平和を築くために必要なこととは? 力強い平和のメッセージ。【目次】カント先生の紹介/カントの言葉「永遠平和のために」より 翻訳・池内 紀、写真・藤原新也、野町和嘉、江成常夫、英訳・クリストファー・バルザック/永遠平和のために 池内 紀・訳/補説/付録/<永遠平和のために>解説 池内 紀
目次
カント先生の紹介
カントの言葉「永遠平和のために」より 翻訳・池内 紀、写真・藤原新也、野町和嘉、江成常夫、英訳・クリストファー・バルザック
永遠平和のために 池内 紀・訳
補説
付録
<永遠平和のために>解説 池内 紀
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
262
1795年に出た小冊子である。時にカントは晩年の71歳だった。この年号から直ちに連想されるのは、1789年のフランス革命だろう。まさに、この時期(18世紀後半)は戦争の世紀であった。カントは哲学者として、語る必要を感じたのだろう。この世紀はまたヴォルテールやルソーの啓蒙主義の時代でもあった。国は違えど、カントもまたこうした啓蒙思想の洗礼を受けていただろう。ここでカントがイメージしていたのは、国民国家だった。そこにわかりやすさと同時に限界もまたあったかもしれない。しかし、彼がここで語っていることは⇒2025/01/14
佐々陽太朗(K.Tsubota)
57
正しく理解できたかどうか心許ない。「永遠平和」が実現できるという確信を持つにも至らなかった。ただ「人間の本性は邪悪である」という現実主義的な前提に立つことで、空虚な理想論ではなく現実的に「全員が同じルールに従う方が自己の利益に適うという法や制度、経済システムを考えつくりだしていくことが大切だ」というカントの考え方は腑に落ちた。諦めなければいつかは達成できる目標、それが「永遠平和」であるということか。努力目標にすぎないといった皮肉な見方をしては、あの世のカントに叱られるか。2024/06/09
おさむ
27
210年前の作品とは思えない箴言に溢れた名著。ロシアの西端、ドイツの東端という東プロシアで生まれ育ち亡くなったカント。歴史的にも珍しい風土のなかでこそ生まれた作品ですね。安保法制論議で憲法9条や国連の基になった作品として幾度か言及されていたので購入。池内さんのわかりやすい現代訳が理解を助けてくれます。2015/10/05
みねたか@
18
常備軍の放棄、国際連合など、カントが提唱していたなんて知らなかった。借款ずくめの国家の破産は避けようがなく、必ずや財務の健全な他国も巻き込み、巻き込まれた国々にとっても大いなる負担になる。200年の時を経ても色褪せない。装丁、写真とセットにした構成、分かりやすい翻訳。哲学者の思いを多くの人たちに触れて欲しいという想いが伝わってくる。解説がまたいい。カントは、よく笑い、冗談が大好きで茶化したり冷やかしたりが上手だった。笑転げ頭に乗せていたカツラを取り落としたこともあるって、チャーミングだなあ。2017/09/03
あまね
16
まず、これが210年前に書かれたということに驚きました。今の世界情勢、日本のベクトルの向き方に対しての著作と言っても何ら不思議ではない内容です。政治に携わる方には、是非、読んでいただきたい本です。2016/09/23
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