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内容説明
明治維新後の日本が列強入りをした日英同盟、破滅に追い込まれたドイツとの連盟。軍事外交史研究の泰斗が、日本の命運を決めた歴史的な選択を再検証。同盟国選定の要件と政策の意義から、近代外交の要諦を探る。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
to boy
20
斜め右から見た日本近代外交史。日露戦争に二年前に締結され1923年、主に米国の策略により破棄された日英同盟をいろいろな史実から見直しています。当時の中国は欧米にとって早い者勝ちの美味しいパイ。そこにいつものように抜け駆けするロシアとアングロサクソンでない日本の登場で様々な駆け引きが生れます。アジア、アフリカは欧米のしもべとなるのが当然といった雰囲気がつい百年前までの世界の常識でした。日露戦争後、すでに対日戦争を想定していた米国はすごいですね。外交って複雑怪奇、魑魅魍魎です。2015/09/22
coolflat
15
日英同盟締結における裏の主役がドイツだったというのは面白い。当時、ドイツのヴィルヘルム2世は、3B政策の下、ロシアとバルカンで対決することを避けたがっていた。そこでヴィルヘルム2世は、ロシアの圧力を反対の極東に向けるために、日露戦争を焚きつけた。ロシアのニコライ2世もその気になって満州への南下政策を進めていたが、肝心の日本は慎重であり、さらに伊藤博文を初めとして日露協商を締結しようという動きさえあった。ヴィルヘルム2世は慎重な日本を戦争に駆り立てる国、日本を後押しする国が必要だと考えた。イギリスである。2017/01/17
takam
11
開国後、日本の立ち位置は非常に微妙だった。西洋諸国からの圧力を受けつつ、中国との協力体制を作ることもできず、西洋諸国の力を借りつつ自立の道を歩んだ。そこに強力な助っ人となる英国が現れる。対中、対露政策についての利害関係が一致し、英国が東アジアの治安維持という観点で日本に期待した点もある。日英同盟により日本は近代国家としてのマナーを身に着けた。しかし、第一次大戦により英国も力を失い、日本も英国に対して不信感を持つようになり、日英同盟が潰える。その後の歴史はご存じの通り。2020/03/24
isao_key
10
日清戦争から第二次世界大戦までの日英関係を中心に当時の世界の勢力図を考察する。表に出典先がなく、当時の新聞や報告書が原文で書かれたり、現代語であったりと統一されていない。参考文献もあとがきに「執筆にあたって利用した書籍が非常に多く、紙幅の関係から書ききれないので詳細は次の拙書の註を参考としていただきたい」とあるのみで、研究書の体をなしておらず、かつ自書を宣伝のように6冊も挙げているのはどうかと思う。ただ当時の雰囲気がよく伝わる記述も多くある。義和団の乱での柴五郎をはじめ日本兵の活躍などもっと知ってほしい。2016/07/14
日の光と暁の藍
9
日英同盟締結から第二次世界大戦開戦までを扱う。よくある歴史書が意図してか意図せずにかは分からないが、見落としたり拾い上げない事件や出来事も含めて丁寧に記述しようとする姿勢に好感が持てた。コンパクトにまとまっているにも関わらず、当時の様子を伝える新聞や雑誌、電報などの引用が絶妙で、その時の空気感がよく伝わってくる。とてつもない量の資料を集めていないとこうしたことは出来ない。中心となる日本、英国、米国、ロシア、中国、ドイツだけでなくオーストラリアなどの動向も交えて論じられた本書により、視野が広がった気がする。2020/09/22