内容説明
わたしはアヤンナ。醜い娘。 「おまえのような娘を妻にする男はいないよ。年頃になったら、市場で夫を買ってこなきゃなるまいね」 亡き祖母はわたしに向かってよくこういったものだ。 だからいまでもわたしは市場が大嫌い。家畜を買うように夫を買わなければ、だれも愛してくれないほど醜いといわれたことを思い出すから。けれど、魔女のわたしが見つけた美しいひとは、奴隷市場で出会った“彼”だった――神の呪い子として忌み嫌われて、誇り高くも孤独に生きる醜い魔女の娘と、美しい奴隷の王子。瓦解する帝国の辺境で二人は数多(あまた)の物語を紡ぐ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
(●▲●)とらうまん(*^◯^*)
39
【★★★★★】美しいもののために死ぬより、美しいものと共に生きたい。 「おまえのような醜い娘は市場で夫を買ってこなきゃなるまいよ」周りからも唯一の肉親である亡き祖母からも侮蔑と嘲笑を向けられ生きてきた、顔に大きな火傷を負った醜い魔女の娘アヤンナ。 そんな彼女と、市場で出会った足萎えの美しい奴隷の青年リリエンは、傾国の辺境で数々の苦境に翻弄されながらも豊かな物語を紡いでいく。2014/03/16
波多野七月
19
「醜い」と言われ、誰からもかえりみられずに育った魔女の娘・アヤンナ。そんな少女が市場で出会った、美しい奴隷の王子。愛されずに、誰からも求められることもなく。呪いのように、否定され続けた一人の少女。そして、美しい奴隷との間に絆と愛情が芽生えていく。やがて、帝国の辺境の地であったその場所は戦禍に巻き込まれ。渦巻く陰謀と共に、世界の崩壊の音が軋んでいく。濃密な人間ドラマに、むせかえりそうになる。ラストの余韻が、どこか美しくて物哀しい。まるでお伽噺のように香り立つ、女性のためのファンタジー小説。2015/06/11
まきこ.M
17
美しさとは、見目麗しい姿や形そのものではなく、その人に宿る魂の静謐さ、奥底にある正しさだったり、行動や所作のたった一つから感じるものなのかもしれません。羽根をもがれて飛べない青い鳥が、籠から飛び出して、出逢った白い鳥、それがリリエンとアヤンナの二人に重なり、二人が紡ぐ物語は、ハーモニーを奏でる透き通た歌声のようでその響きが余韻となって残ります。哀しいけれど愛しい、そして人から人に脈々と伝わる語り部の娘、そして美しい鳥の物語ー。2014/11/10
瀧ながれ
17
つらい生活を過ごしてきたふたりなので、ふたりで幸福になる結末が読みたかったです。切ない…。2014/02/01
フジ
16
鬱々としそーな内容ですが、嫌いじゃないなぁ。てか好きな方です。読みながら、次のシーンには救いがあるんじゃないかと探しながら願いながら読んでました。でも、最後はやっぱり少し哀しくて、幸せな結末を望んでしまうな。リリエンはアヤンナのことを美しいといってたけど、そこは恋特有の男性側の美化と思えなくもなかったかな。だって、アヤンナがリリエンを助けた理由はけして親切心からじゃないし、葛藤して苦しんでる女の子なわけで。読んで思ったのは勧められるより、なんか気になるなーって思って手にとるのが合う本かも。2014/02/19
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