内容説明
毎日新聞の名物ジャーナリストが長期密着した前代未聞の「三重スパイ」の実像! 過激派からは殺害通告を受け、MI5からは切り捨てられる。そこで男がとった行動とは? 発端は祖国を救うためだった。アルジェリアからフランス、そしてイギリスのMI5へ――。3ヵ国の諜報機関を渡り歩いた「トリプル・エージェント」レダ・ハセインの数奇な50年。昂奮の国際ノンフィクション!
目次
序章 対面
第一章 アルジェの太陽
第二章 アルジェリア
第三章 フランス
第四章 英国
第五章 地上の人に
第六章 霧の恐怖
あとがき
主要参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hatman
9
面白い。アルジェリア(フランス植民地)人スパイによるイスラム過激派の監視。 イギリスは、戦後の労働力不足を補うため移民を積極的に受け入れ、イギリス人として納税者を育てる融和政策をとり、かつ英語が話せる説法師の過激化を自国の安全を担保に裏工作ですることで イスラム過激派温床となった。 モスクの説法師は、モスク運営組織からのオファーと選考で決まる。 会話能力が上回る方が主導権を握りやすい。 →英語が苦手だと英国諜報機関には使われるだけ。 無知が偏見を生み、陰謀史観につながる。 本当に怖いのは国家権力。2021/11/06
色々甚平
8
アルジェリア内戦を過ごした男の軌跡。この人が英雄であったり、素晴らしい人間であるとは思わない。しかし、巨大な力に振り回される姿は指を指して笑えるものではなかった。アルジェリア・フランス・英国でスパイ活動をするが、ジェームズ・ボンドのようでもモサドのようでもなく、地味な監視がメイン。ムスリムとして9・11前のMI5に対して過激派への認識が甘かったことを指摘している。また9・11後の英国でのムスリムやモスクの動きが書かれているのも読みどころ。2019/03/31
co1024
2
イギリス諜報機関がテロを扇動していた過激なイスラム主義者と実は裏でつながっていたことが明るみになり、当時イギリスでは大きな話題になったことだろう。陰謀論だと片付けられそうなことが実は現実だったのだから。スパイをしていたフセインはイスラム過激派と闘うことによりジハードを遂行さていたと本人は美化するだろうが、筆者が指摘するように、ある種刺激を求めていたところもあり、金もせびるし、諜報機関関係者は相当やりづらかっただろうな。2016/11/25
Verte
2
表現の自由は侵すことのできない正義の御旗なのか。911以前は過激派イスラム指導者の殺人推奨発言も表現の自由として英国政府から擁護されていた。フランス シャーリーへブド事件後の対応等も含め、表現の自由の呪縛についても考えさせられた。2015/10/16
キミ兄
1
途中まではうさんくさいスパイもどきの話だったが、いざ911が起きてみると反テロ活動の英雄ではないか。よく消されなかったものだ。英仏諜報当局の緩さも明るみに。☆☆☆。2015/09/16
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