創元推理文庫<br> ユダの窓

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創元推理文庫
ユダの窓

  • ISBN:9784488118389

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内容説明

一月四日の夕刻、ジェームズ・アンズウェルは結婚の許しを乞うため恋人メアリの父親エイヴォリー・ヒュームを訪ね、書斎に通された。話の途中で気を失ったアンズウェルが目を覚ましたとき、密室内にいたのは胸に矢を突き立てられて事切れたヒュームと自分だけだった――。殺人の被疑者となったアンズウェルは中央刑事裁判所で裁かれることとなり、ヘンリ・メリヴェール卿が弁護に当たる。被告人の立場は圧倒的に不利、十数年ぶりの法廷に立つH・M卿に勝算はあるのか。法廷ものとして謎解きとして、間然するところのない本格ミステリの絶品。/座談会 ジョン・ディクスン・カーの魅力=瀬戸川猛資、鏡明、北村薫、斎藤嘉久、戸川安宣(司会)/本座談会と『ユダの窓』について=戸川安宣

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

W-G

420
カーター・ディクスン名義の代表作。私の中では、とにかく入手困難でどこにも売っていない印象があった一冊で、その癖、トリックだけは広く知れ渡ってしまっているタチの悪さ。そこまで評価の高くなかった作品だが、改めて読むと、『火刑法廷』や『三つの棺』よりも好きかもしれない。その2作のような雰囲気作りを拝して、しかも法廷ものという事で、カー成分は低めかもしれない。しかしそこが現代の読者にとっての取っつき易さに繋がっており、変に驚天動地の密室トリックを期待せずに読めば、サスペンスもあり芸の細かい秀逸な本格ミステリ。2017/04/27

Kircheis

408
★★★★☆ H・M卿シリーズ第7作目。 密室内で殺人が起こり、死体と一緒に見つかったアンズウェル青年が殺人罪で起訴された。久々に弁護人として法廷に立つH・M卿は圧倒的不利な中で弁護できるのか? 無罪の被告人を追い詰める検察と弁護人の手に汗握る攻防はやはり面白い!しかし、証拠の提出や証人喚問が不意打ち過ぎて現実の裁判ではあり得ない。まぁ『逆転裁判』みたいなノリで楽しむべきだろう。 犯人は当てやすい方だと思うが、肝心の密室トリックはカーらしくトンデモ系で個人的には微妙。 しかし全体としてはかなり好き。2024/02/04

セウテス

97
ヘンリー・メリヴェール卿シリーズ第7弾。〔再読〕メリヴェール卿が、本職である弁護士として法廷で闘う貴重な一冊。目を覚ますと密室の部屋の中に、矢で胸を刺された遺体と2人きりであった青年の弁護を行う。ユダの窓は、カー氏の代表的な密室トリック。ですが本作はユダの窓その物以外にも、犯人探しの推理を堪能できる上、法廷での無罪を証明するというやりとりが、存分に読み応えある傑作だと言えます。その解明の手順が魅力ある物語であり、その法廷戦術のクライマックスはカー作品のベストの一つ。巧妙という言葉が、正に当てはまります。2019/01/28

おたま

80
カーター・ディクスン(ジョン・ディクスン・カー)の小説はこれが初読み。ほぼクイーンやクリスティーと同時代の作家であり、内容は濃密だった。法廷小説であり、かつ密室、フーダニット、そして「ユダの窓」の秘密と幾重にも重ねられたミステリーに興味は尽きない。探偵役としての、弁護士ヘンリ・メリヴェール卿の人物像も大変興味深い。それらによって、次第に起きた事件が明らかになり、裁判の行方に引っ張られてついつい読んでしまう。「ユダの窓」とは何か? そして、起きたことの真相は何だったのか? やはりミステリーの名作の一つ!2025/03/10

aquamarine

71
プロローグの事件時の被疑者視点以外は殆どが法廷でのお話。トリック(有名ですが私は結び付かなかった)を楽しむより法廷ミステリとしてとても楽しめました。プロローグで引っ掛かる点があったこともありグイッと掴まれて、あとはH・M卿の弁護に圧倒されながらぐいぐいと読み進めていきました。見えているものが見えている通りでなかったり、少し遠回りすることで優しさを感じたり、人間関係の浮き彫りになっていくところも素晴らしかったです。また巻末の瀬戸川猛資、鏡明、北村薫、斎藤嘉久4氏のミステリ談義が本当に楽しそうで素敵でした。2015/10/27

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