内容説明
かつて繁栄を誇ったコンスル帝国の最北西に位置する霧岬。そんな霧岬の村に住むデイスは十六歳、村の外に捨てられていたところを姉に拾われ、両親と姉に慈しまれて育った。ある日父と衝突し、怒りにまかせてゴルツ山に登った彼は、土の中に半分埋まった肩留めを拾う。金の透かし彫りに、〈太陽の石〉と呼ばれる鮮緑の宝石。これは自分に属するものだ、一目でデイスは悟った。だが、それがゴルツ山に眠る魔道師を目覚めさせることになるとは……。デビュー作『夜の写本師』で読書界に旋風を起こした、〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ第3弾。/解説=金原瑞人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くたくた
46
著者氏はどこかの後書きで「魔導合戦も書いて見たい」とおしゃってたか。とにかく壮大な兄弟喧嘩。「魔導師の月」で闇を飲み込んだライサンダーの子孫たち。時代がさがること数百年後のコンスル帝国、イザーカト兄弟は魔導師の9人兄弟。末っ子がデイサンダー。ライサンダーのフィブラは、遺言で「9番目の末子」に伝えられた。真ん中のお兄ちゃんリンターがとても素敵で、思わず惚れた。ナハティは、兄弟が多いとどうしても貧乏くじを引く僻みっぽいのが生まれてしまう悲劇である。そんなナハティがデイスのために黙々と刺繍するシーンが切ない。2025/01/29
小夜風
35
【所蔵】途中まで前巻のレイサンダーと今巻のデイサンダーを同一人物だと思い込んでいて混乱しました(笑)。魔道師レイサンダーの子孫であるイザーカト九兄弟の壮絶な兄弟喧嘩。最初はあらあらしょうがないわね~なんて微笑ましくすらあったのに、こんな悲劇になるなんて!それもこれも前巻の〈暗樹〉のせいなのですね。残酷な場面が本当に背筋が凍る程恐ろしく、目を背けたくなりましたが、だからこそ最後の場面は涙が……。自分はどちらかというとナハティの気持ちが判る方なので、〈暗樹〉に囚われないように気をつけて生きなければなのです。2016/08/30
tom
33
前二作より小ぶりに感じた(良く言えば読みやすい)のは、要するにきょうだい喧嘩だからかな…(苦笑)。ちょっと間が空いて忘れてしまい繋がりとかは見つけられなかったので残念。2018/10/16
ぐっちー
32
文庫で再読。やはりこの兄弟の破滅的なケンカ、面白かった。ナハティが闇に堕ちていく様が哀しい。デイサンダーの為に刺繍をしてあげるエピソードは切なく、前作でレイサンダー達が一時的に封じた暗樹の因果と応報がこんな風に避けようもなく発現してしまうのがやるせない。その過酷な喧嘩の旅は、やんちゃだった少年たちの大切な人を奪い、憎しみが否が応でも彼らを大人にしてしまった。ラストの緑陰に囲まれ、命が生まれては消えてゆく美しい世界の情景は、心に闇を宿し、ひどく傷つきながら生きる全ての人への優しい癒しだ。2016/05/25
リキヨシオ
29
千年以上繁栄を極めたコルスン帝国も終末期。帝国最北西の村に住むデイスは「太陽の石」という宝石を拾う。時を同じく現れたのはリンターと名乗る魔道士は三百年前に消えた帝国が誇った九人の魔道士「イザーカト兄弟」の次男。三百年前の兄弟同士の因縁に決着をつけるというリンターの旅に同行するデイスと仲間達。彼らを待ち受けるのは暗黒の力に堕ちたイザーカト兄弟の次女ナハティ。壮絶な兄弟喧嘩は帝国の命運に関わる戦いに。数多くの魔法が登場するこの世界では魔道士が圧倒的に強い…それだけに闇の取り込まれるととんでもない事態に…2016/10/21
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