内容説明
「戦後」を学ぶには、まずこの一冊から!占領、55年体制、高度経済成長、バブル、沖縄や在日コリアンから見た戦後、そして今――これだけは知っておきたい重要ポイントがわかる新しい歴史入門。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
33
歴史も記憶もかつては生きる知恵だった。それが歴史はだんだんとかけ離れて単なる知識になってしまった。この言葉を重く受け止めました。そもそも歴史はいまの時点から考える。しがし、いまは動いており、いま当たり前のことがどんどん移り変わっていく。敗戦占領の後、高度成長があり、オイルショックなどの揺らぎを経て、冷戦とともに戦後は終わった。いつまでもこのステレオタイプの戦後史ではいられないということですね。沖縄、在日コリアン、さまざまな視点から歴史を見ることをこれからも心がけたい。再読でした。2017/11/10
おさむ
24
歴史は決まってしまったことではなく、語る人の解釈によって違ってくる。そして、常に「いま」を説明するために考えられている。戦後70年の今年、アタマの体操にぴったりの本でした。キャロル・グラック曰く、日本ほど「戦後」が長く続いている国はないとのこと。とはいえ、そろそろ地に足のついた歴史観によって再考すべき時なのかもしれません。2015/07/15
かんがく
15
タイトル通りの戦後史の概説書では全く無い。むしろ、戦後史を題材に選んだ「歴史学入門」と言った方が適しているであろう。平易な語り口と充実した注釈で中高生にも十分理解ができる構成になっているが、終戦の日、在日コリアン、沖縄など、内容は歴史の複眼的な捉え方について深く学べるものになっている。歴史とは教科書に載っている項目であるかという問いかけから始まり、一般的に持たれている歴史イメージを崩し、現代の問題にまで繋げていく書き方は見事。歴史初学者に読んでほしい一冊。2020/04/16
匙
14
政治もよく分かってないし特に近現代史理解してないな…と思い、手に取った。戦後史の一番基本的なワードを出しながらおさらいしつつ、歴史学の入り口へ導いてくれる。もともと中学生のために書かれた本ということで、表現も話の進む速度もゆっくり易しくて最初の一冊に選んでとてもよかった。作者、ALWAYS三丁目の夕日めっちゃ嫌いなんだろうなと思った。2022/05/15
またの名
10
コロナ後に移りもはや終わったのかまだ判らない戦後への、入門。米軍により強制的に始まったかのような戦後の転換さえも反東條英機派が既に主導権を奪って、敗戦は確定で下手すると革命が起きると天皇に訴え(米軍占領よりも革命が怖くて)8月以前から戦時体制終結に動いてた等と、歴史の見方が視点次第なことを示す。今日ダメでも明日はきっと良くなる世代の感覚が培われた理由の、歴史的な解明も面白い。もはや戦後を終わらせたい派が必死になっても自分達で戦後体制の核たる日米安保を延命させ続けるので終わらない、という解釈の皮肉さがツボ。2022/01/05