内容説明
日本人の魂を形成した、村と町。それらの関係、成り立ちと変貌を、ていねいなフィールド調査から克明に描く。失われた故郷を求めて結実する、宮本民俗学の最高傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Akihiro Nishio
22
出張中の岩手で買った本。こういう本は岩手で買うことに意味があるんだよと得意げだったがまさかの再読。宮本の本は同じような話が何度も出るので途中まで気づかなかった。しかし再読でも新たに気づくことがたくさんある。今回は人と人、村と村がどのようにつながってきたかという点を丁寧におさえていることに感じ入った。自分の関わっている途上国はまさに村から町へと変貌していくさなかであり、自分が仕事をする上で、もっと現地のネットワークに注目する必要があることに気づかされた。2016/11/07
T2y@
18
民俗学との出会いの一冊。 一様に貧しかった、かつての日本の民衆。ムラ協同の力で乗り切り結束して生きてきた、その結束と仕来(しきたり)、そこに住む人々の営み。 江戸時代以降、明治・大正・昭和・戦後の変遷。 ムラハチブ、間引、オジ・オバの存在。 歴史とはまた違う、日本の歩みをまだまだ学ぶ必要がある。2014/03/26
Akihiro Nishio
16
新年度を宮本常一からはじめられる幸せ。本書は、村落の成立から村の規則ができて、やがて消滅していくまでを解説する。村落共同体のたががゆるんでから富農が誕生し、農民の中でも主従ができていったというのは意外だった。また、漁村や、村落を超えた経済共同体である「講」や宗教共同体についても語られ、村落という単位を超えて人が複雑に結びつきあっていたことがわかる。2016/04/02
HANA
16
町や村の生活や変遷を描いたもの。何となく民俗学より社会学っぽい。町の人間も田舎を引きずっているという記述があったが、それももう50年近く昔。今は定住して完全に都会の人間として暮らしているのがほとんどではないかと思う。村の生活の方は著者の独壇場。豊富な聞書から村の発展や寂れていく様などを余すところなく書いている。この本が書かれてから50年、もうここに書かれたような生活は何処にも無いんだろうなあ。2012/03/19
1.3manen
12
第2章町づくりの中で、商人の役目という節がある。評者の住む地域の自営業社長は、自分だけ偉ければいいというタイプの人らしく、町づくりにはなれない地域。昔の地域例は、飯田や水窪が出てくる。中国地方では牛市の事例(68-9頁)。商人の現代的意義は、自分たちだけが潤う我田引水ではない筈だ。そこに気付けないので、住民の声を無視して儲け儲けであーなっただろうな。216頁の村八分。今もいじめはある。火事、葬式以外、関係を絶つムラハチブ(217頁)。世間体は230頁~。いずれにせよ、成員合意なしに万能な規範、慣習は無い。2013/06/05
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