内容説明
激動の時代が過ぎ、文明開化の音がそこかしこから聞こえても、未だ江戸時代は続いていた。 妖魔と戦うため幕府が組織した退魔衆の女剣士・桔梗。百人を斬ることで願いを叶える妖刀を手に旅を続ける侍・殿江静馬。幕府への復讐を誓う軍服の鬼。愛するものを奪われた神凪の巫女。 交錯する生き様が浮世の闇を走馬灯のように照らし出す。明治維新が起きなかった仮想の日本を舞台にした、新時代浪漫エンターテイメント小説、ここに開幕!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ymartak
16
メディアワークス文庫から既発売の著者作品とは作風をガラリと変え、維新を経なかった盟治(明治)初期を舞台に、世に蔓延る妖魔を狩る退魔衆の女性剣士を描く物語。味方・敵ともに一筋縄にはいかない過去や想いを抱え、それぞれが信ずるものに向かい、時には反発し時には交わりながら歩む姿を、迫力たっぷりの殺陣シーンとともに描き出している。何より、時代劇特有の冷酷な苛烈さと虚無感がきっちりと織り込まれているのが素晴らしい。もっと多くの人の目に触れて欲しいし、続編を期待したい作品。2014/11/27
空箱零士
8
★★★★ ラスボスくん「面白い、やってみるがいい。(中略)お前がいかなる妖魔を飼っていようと、俺が負けるわけがない!」→ラスボスくん「ば、ばかなっ、このようなこと、ありえんっ」ラスボスが即落ち2ページで負けるとか、いくらなんでもギャグ過ぎませんかね……。といった具合に、ラスボスを静馬ではなく、最終章に入って急激に小者化した龍皮だったことで若干盛り上がりに欠けるところはありましたが、それ以外は概ね満足できる和風ダークファンタジーでした。キャラと世界観はバッチリハマっていて、高い描写力もあって満足できた一冊。2018/04/14
Tatuyuki Suzuki
7
この方の他の作品を読んできましたが、暗い話でもこの方らしい内容で良かったです。2018/09/08
雪猫
7
和風ダークファンタジー小説って感じです。黒船来航からの動乱、幕府側が呼び起こした妖魔の軍団により幕府が勝利を収めた世界。しかしその日本は悪鬼が蠢く呪われた国として西欧諸国から忌み嫌われています。主人公は夜蝶と呼ばれる退魔集の女剣士と百人斬ったら願いが叶うという妖刀を持つ流浪の剣士。2人の視点で話しが進みやがて互いの運命が交差します。似た雰囲気を持つ2人だからこそ次第に互いに惹かれていきますが…。戦闘シーンはなかなかイメージしやすくよく迫力が伝わってきます。特に桔梗の剣術スタイルは是非とも映像で観てみたい!2014/11/21
yamakujira
6
文明開化の頃、妖魔を退治する幕府の組織、退魔衆の女剣士、桔梗の活躍と彼女が背負った業をえがく。「長く生きるばかりがすべてじゃない。大事なのは、どれくらい生きたかじゃなくて、どう生きたかだよ。それには、どう死ぬかも含まれている」と述べる楓の言葉が印象深いのは、あとがきに見る著者の執筆動機のせいかな。ラノベらしい展開で悪くないのに、西国諸藩を討った徳川幕府が近代化を進めているって仮想世界を、今ひとつ生かしきれてない。輪鬼隊を新撰組に、軍服の鬼を土方にするとか、時代ネタを活用してほしかった。 (★★★☆☆)2018/10/26