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内容説明
税金はややこしくてわからない.いや,ちょっと待て.わからないで済まされるのだろうか.税務署がどこにあるかさえ知らない日本の納税者.その無関心と無理解につけ込んだ「お上まかせの税制」が,今日の財政危機と格差社会を生んだともいえるのだ.国民の大多数を占めるサラリーマンが,いかに税にたいして関心を持てなくされているか.その現状や背景を伝える.
目次
目 次
はじめに──減税の好きな国民
序 章 さまざまな納税者たち
第1章 取り残された納税者
1 なぜ、納税の「義務」なのか
2 申告納税制度の不幸な展開
3 取り残されたサラリーマン
第2章 取り締まられる納税者
1 脱税でもないのに抜き打ち調査?
2 理由がわからない処分
第3章 頼れるものがない納税者
1 読んでもわからない法律
2 助けてくれない裁判所
3 守ってくれない専門家
第4章 払えない人、払わない人、払うべき人
1 払えない人と滞納
2 払わない人と処罰
3 払うべき人と租税回避
終 章 納税者の権利と民主主義
1 いまだに実現しない納税者権利憲章
2 税の使い道と民主主義
おわりに──黒船は三度やってくる?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
32
何度か確定申告やって骨身にしみるけど、確かに、源泉徴収&年末調整のシステムはむちゃくちゃラクチンだし、税のことなんて全く知らずに済む。いや本当に、知らないことばかりだった、いい本だ。◇このシステムも総力戦体制の賜物。一つの目標を追いかけるのなら社会にとって効率的でいい仕組みだ。でも、知らない以上、税金は取られるものでしかないし、減税にしか喝采は上げられない。でももはや今は、広く支持を調達しなければ効果的な施策に踏み込めない環境。耐用年限過ぎた仕組みなのではないだろうか。ヨラシムベシ、では何もできんでしょ。2015/10/31
onasu
22
「お上まかせの税制」が、今日の財政危機と格差社会を生んだ、とはそれが全てではないにせよ、忸怩たる思いを抱かざるをえない。 源泉徴収と年末調整、これで成人の8割は税務署とは無縁。納税者も役所も、手間なしと言えば聞こえはいいが、心情は取られているだけ。主権者たる国民に納税の義務とは!? 国を運営しているのは、間接的にせよ私たちなのに無関心。それをいいことに使途は不透明、徴税側ばかりに好都合。政権交替の功罪は数あれど、この辺は少しましになったとか。お任せで都合よくなんて、ありえない。肝に銘じておくべし。2015/09/24
うぉ
17
日本の税制がいかに納税者に不利になっているか、分かりやすく解説してくれている。自分の納税額がどのように決まるのか、過剰な徴税はありうるのか、どのようにその訂正を要求するか、それを知らないというのは、端的にいってまずい状況だ。複雑怪奇な税法の状態もその理解を阻む要因になってしまっているのだろう。2019/10/03
こういち
15
給与に占める税額の割合が僅か4.3%(平成25年度)とは意外。何故にこれだけの重税感をもたらすのか。本書は日本における税法改正過程の背景と納税の実態を見事に解説する。そして、余りにも税金に対して無知であったことを知る。もはや、上辺だけの歳出圧縮や消費税率の引き上げだけを考えている状況にはない。先ずは純粋に納税された実額で何が行われたのか、公債を発行した分で何を行ったのかを分画する必要があるのではないか。今改めて主権者たる我々が、「権利」という権益の妙味を正しく理解しなければならない。2015/05/23
ケー
14
岩波新書の割には少し著者自身の主張(というか感情?)多めな本。とはいえ、10年前の税調査の変更など、なかなか知ることのできない内容で面白かった。こんだけ給与所得者だらけじゃ確かに税に興味を持つのは難しいよな。。。2019/06/24